シロアリってどんな生き物?プロが徹底解説!【予防・駆除・対策】
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2019.05.23 / 更新日 2022.06.08
シロアリ駆除
シロアリってどんな生き物?プロが徹底解説!【予防・駆除・生態】

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田中 勇史
しろあり防除施工士

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。
こんにちは。
シロアリ1番!の田中です。
今回はこのような疑問にお答えしていきます。
このページでは
- シロアリの生態
- 建物にシロアリが発生した時の対処法
- シロアリについて誤解されがちなこと
- シロアリの被害に遭わないようにする方法
などについてご紹介していきます。
目次
シロアリを見かけない理由
多くの人はシロアリについて「家を食べる悪い生き物」という印象を持たれていると思います。
しかし、「実際に生きているシロアリを見た」という人は少ないはずです。
これはシロアリが人目につかない場所で生活しているからです。
シロアリは元々、光・風・空気などに直接触れることを嫌う生き物です。というのもシロアリの肌はとても弱く、光に触れると紫外線の影響で大きなダメージを受けてしまいます。
そうならないよう、シロアリは普段は地中深くの大木の根本などにコロニーとなる巣を構えながら、光の当たらない土の下を移動して暮らしています。
私たちが直接シロアリを見かけることがないのは、そもそもの生活圏が人間とは大きく異なることが原因です。しかし実は、シロアリは北海道の一部の地域を除いて日本全国土の下ならば、どこにでも生息している生き物なのです。
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/shiroari-area/
シロアリはアリの仲間ではない
シロアリは「アリ」という名前が付けられていますが、実はシロアリは生物学上はアリとは違う生き物として分類されています。
- シロアリは「ゴキブリ」の仲間
- アリは「ハチ」の仲間
というとイメージが付きやすいかも知れません。
シロアリ
アリ
その証拠に、シロアリとアリとでは卵から大人になるまでの成長の仕方が大きく違っています。
シロアリは「卵→幼虫→成虫」という順番で成長し、幼虫と成虫ではほぼ見た目が変わりません。(この事を「不完全変態」といいます)
それに対してアリは「卵→幼虫→サナギ→成虫」という順番で成長し、幼虫はアリのイメージとは異なるイモムシのような姿をしています。(この事を「完全変態」といいます)
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/shiroari-youchu/
シロアリは「社会」で動く
「シロアリはアリではないのにどうしてアリと名付けられたの?」と思う人もいるかも知れません。
理由としては先程写真で見ていただいた通り、「見た目」が非常に似ているということが挙げられます。
しかし実はもう1つ共通点があります。それは「社会性を持っている」という点です。
シロアリの社会は
- 女王・王
- 副生殖虫
- ニンフ
- 兵蟻
- 職蟻
という階級に分かれており、それぞれ見た目も異なります。生まれたての幼虫の時点ではお互いに違いはありませんが、女王や王が分泌する特別なフェロモンの影響を受けてそれぞれの階級に「分化」していきます。
女王や王を含め、すべてのシロアリは自分の「役割」を持っているのです。
女王・王(ヤマトシロアリ)
副生殖虫(ヤマトシロアリ)
職蟻(ヤマトシロアリ)
兵蟻(イエシロアリ)
ニンフ(カンザイシロアリ)
羽アリ(ヤマトシロアリ)
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/not-extinct-termite/
- 働きアリの「職蟻」
- 職蟻は働きアリとして
- エサの採取
- 女王が産んだ卵や幼虫の世話
- 巣の拡張
など様々な役割を果たします。
巣の中の9割以上のシロアリは職蟻であるといわれています。
- 外敵から仲間を守る「兵蟻」
- 兵蟻は巣を外的から守る役割を果たします。職蟻に比べてアゴが大きく発達しているのが特徴です。名前からは攻撃的な印象を受けますが、実際の動きはシロアリの種類によって異なります。
- 生殖活動を行う「女王・王」
- 女王と王は最初に巣を創設したペアとなるしろありです。巣の中でも最も奥深くの安全な場所で暮らし、卵を産んで子孫を残す事に専念します。職蟻や兵蟻などに比べて非常に長い寿命を持つのも特徴の1つです。
- 女王・王の代わりを務める「副生殖虫」
- 副生殖虫は、万が一女王や王が死んでしまった時にその代わりとなり巣を継続させます。特に女王の代わりとなる副生殖虫は実質的には女王の「分身」にあたり、副生殖虫の存在そのものが女王の非常に長い寿命の秘密です。
- 新たな巣を作るために外に旅立つ「ニンフ」
- ニンフはシロアリの巣がある程度大きくなった時に、新しい女王・王となって自分の巣を作るために外に飛び出していくシロアリです。背中に未発達の羽がついているのが特徴で、この羽は脱皮を重ねるごとにしっかりと形作られていきます。
シロアリは天敵だらけ!
シロアリは「建物を食べる害虫」というイメージが強いですが、自然界では非常に弱い生き物であり、たくさんの天敵が存在する事で知られています。
しかしシロアリも様々な知恵を使って天敵から身を守ろうとしています。
シロアリは人間よりも遥かに長い間地球上に存在する生き物ですが、それもシロアリが様々な知恵を出して考えた生き残りをかけた作戦の結果であるといえるでしょう。
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/termite_tenteki/
シロアリは人間の建物がエサ
シロアリは地球全体の環境という大きな目で見れば大切な役割を持っています。
シロアリが木を食べてくれないと、地球上は枯れ木であふれかえってしまうことになります。シロアリはなくてはならない存在なのです。
しかし、シロアリのエサである「木」を住み家にしている私たちとの相性はあまりいいとは言えません。木をふんだんに使っている私たちの家はシロアリにとっては絶好のエサとなってしまいます。
床下に侵入したシロアリは、基礎や束柱(床下の柱)を通り家屋の木材に到達します。その時、シロアリは光や風に触れることを嫌うため蟻道(ぎどう)と呼ばれる自分の分泌物や土を混ぜ合わせて専用のトンネル状の道を作ります。
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/gido-termites-road/
私たちの家に侵入したシロアリは、床下の土台や柱を食害します。木材は全て食料ですから、被害が進行すると床材や内装材、窓枠などの木材にまで食害が及びます。普段の生活でシロアリ被害に気づくケースの中で多いのは、フローリングや玄関の框(かまち)などに穴が空いているのを発見するケースなどです。
浴室の扉のシロアリ被害
フローリングのシロアリ被害
床下のシロアリ被害
建物外側のシロアリ被害
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/shiroarihigai/
その羽虫はシロアリかも!?
シロアリによる被害は、建物が被害にあっているのを発見するというケース以外にも、実際のシロアリを直接見つけることで発覚する場合もあります。
特に4月〜5月にかけてはヤマトシロアリの羽アリシーズンとなっており、シロアリ1番!も「家の中で羽アリを見た」というお問合せをたくさんいただきます。
注意していただきたいのは、家の中で見かけるシロアリは多くの場合羽が生えており、体の色も黒色であることです。
初めて見た人は「え?これがシロアリなの?」と疑ってしまうかも知れません。また反対に、シロアリかと思ったら別の虫だったというケースもあります。
まずは「正体」を明らかにすることが大切です。
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/black-winged-ant/
シロアリとアリの見分け方
元々シロアリは私たちの前には滅多に姿を見せることはなく、イメージがしづらい生き物です。
しかも先ほどもお話しした通り、地上に羽アリとして姿を表すシロアリは「白い」というイメージに反して「黒い体」になっています。
そのため、家の中で目の前の羽アリがシロアリかクロアリかをパッと判断するのは難しいかも知れません。
そこで、いくつかのシロアリとアリを見分けるポイントをご紹介します。
注目していただきたいのは、
- 触角の形
- 羽の色や模様
- 体のくびれ
などです。
シロアリの触覚が直線的であるのに対し、アリの触覚はくの字に折れ曲がっています。
また、シロアリの羽はくすんだ透明感のない色をしており、羽にある模様(翅脈:しみゃく)ははっきりとしていません。
一方アリの羽は非常に透明感があって透けて見え、羽の模様も大きくはっきりしています。
体全体を見るとアリには明確なクビレがありますが、シロアリは胸から胴までがつながって見えます。
シロアリの羽アリ
アリの羽アリ
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/how-to-distinguish-termites-ants/
シロアリかな?と思った時は
家の中で大量の羽のついたアリが発生したり、ボロボロになった建物を見つけてしまった時には思わずパニックになってしまうかも知れませんが、大切なのは「冷静に対処すること」です。
というのも、羽アリには建物や人間に害を及ぼすことはありませんし、シロアリが家を食べるといっても数日程度の僅かな期間で被害が大きく進行することはありません。
人間は焦ってしまうと冷静な判断ができなくなりがちで、悪徳業者に高額な費用を払ってしまった、というような更に悪い状況に陥ってしまうリスクも大きくなります。
まずは落ち着いて現状を正しく認識することが、適切な行動につながります。
まずは業者に調査を依頼するための準備をしよう
シロアリの被害が疑われる場合はまずは専門家に見てもらうための準備を行いましょう
具体的には
- 落ちていた羽を保管しておく
- 建物の図面がある場合は用意する
- 点検口がある場所を確認し、中の荷物を整理しておく
などです。
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/termite-control-for-the-first-time/
殺虫スプレーは使わない方がいい
多くの人は家の中に羽アリが発生すると「とりあえず殺虫スプレーを使おう」と思いがちですがそれは「表面的な対処法」にしかならず、むしろ状況を悪化させてしまうリスクもあります。家の中に発生した羽アリを駆除する時は、ビニール袋や掃除機で対応するようにしましょう。
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/how-to-control-termites-ng/
費用は業者によりまちまち
シロアリ駆除にかかる費用は、保証の有無や施工単価の計算方法、業務形態などによりまちまちです。しっかりとサービスの内容に見合う価格なのか、サービスを保証してくれる信頼性のある業者なのか、しっかり分析しておくことが大切です。
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/shiroarikujo-price/
シロアリの間違った知識
シロアリはあまり身近な生き物ではない分、誤った知識を持ってしまっている方を見かけることがあります。
例えば
- 加圧注入材を使えば被害に遭わない
- 床下がコンクリートなら心配は不要
- 鉄骨の建物だから心配は不要
などです。これらはいずれも「誤り」であると言わざるを得ません。
- どうして加圧注入材を使っていてもシロアリ被害に遭うの?意外な落とし穴とは
-
住宅の中には構造体に「加圧注入材」を採用しているものもあります。加圧注入材はシロアリを予防する処理が施されている材木ですが、加圧注入材を使っているからといって建物自体のシロアリの心配がなくなるわけではなく、実際に被害に遭っている物件が多く存在します。それは、すべての木材が加圧注入材を使用しているわけではないことや、加圧注入材にはシロアリの建物への侵入そのものを止める働きがない事が原因です。
参考:どうして加圧注入材を使っていてもシロアリ被害に遭うの?意外な落とし穴とは
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/pressurized_injection_material/ - シロアリはコンクリートを通過できる
-
シロアリが普段は土の中に生息し、土から床下に上がってくるということは、床下がコンクリートで覆われていれば大丈夫なのでしょうか。実は多くの方が「コンクリートなら大丈夫」と思われています。しかし、我々シロアリ駆除業者の視点でお話をすると、コンクリートで覆われた住宅でもシロアリ被害はよく見ます。それは稀なケースでもなく、床下が土やシートの場合と同様に一般的に見られる現象なのです。構造や防湿上は全く問題が無いのですが、小さな昆虫であるシロアリからすれば、たった0.6mmの隙間があれば通ることが出来てしまうのです。
参考:シロアリはコンクリートを通過できるのか?
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/concrete-termites/ - 鉄骨造でもシロアリ被害に遭う可能性がある
-
「鉄骨造ならばシロアリの心配はしなくても大丈夫」と考えているとすればそれは誤りです。
確かに主要構造材はシロアリの食害は受けません。
しかし、鉄骨でも床を組む束柱、大引、根太などの構造体や、内装材である幅木、上り框、敷居、フローリングなどには木材が使用されている場合が多く、シロアリの心配がないとはいい切れません。
参考:鉄骨造の住宅でもシロアリ被害!?鉄骨とシロアリの関係とは
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/steel-frame-house/
シロアリの対策
シロアリ1番!の運営会社であるテオリアハウスクリニックは
「シロアリに 食われて泣くより まず予防」
をモットーにシロアリの「駆除」ではなく「予防」をあらかじめ実施することをおすすめしています。被害に遭ってからシロアリを駆除するのではなく、建物をあらかじめ食べられないようにしておくのが大事だというです。
シロアリの対策は基本的には床下への薬剤散布により行います。
また、薬剤の効果は時間が経てば消失するので、「1回やってそれでおしまい!」というわけにはいきません。
決められた期間ごとに継続して行うことが大切です。
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/termite-control-5years/
まとめ
ここまでシロアリについて、生態・人間の家に及ぼす被害・駆除方法・あらかじめ予防を行う方法など様々な視点で書かれた記事をご紹介してきました。
シロアリは地球上では”益虫”として無くてはならない存在です。しかし私たちが住む住宅もまた、大切な財産であり無くてはならないものです。
もともとシロアリが暮らしていた土地に、上から家を建てて暮らし始めたのは私たち人間ですので、シロアリが餌である住宅の木材を食べてしまうのは必然なのです。そんなシロアリと共存しつつ、住宅の劣化を防ぐために大切なのはやはり「予防」です。
事前に予防処置がなされていれば、住宅がシロアリの劣化を受けることも、シロアリを無闇に殺虫することも無くなります。
これをきっかけに、住宅の健全化とシロアリ予防に対する意識が広まっていただけると幸いです。
シロアリ1番!は
▶︎シロアリ防除率99.73%
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など、顧客満足度に特化したサービスを提供しています。
シロアリ1番!の作業スタッフは実力のあるメンバーばかりです。シロアリでお困りのようでしたらコチラでシロアリ1番!を詳しくご紹介していますのでぜひご覧ください。