どうして加圧注入材を使っていてもシロアリ被害に遭うの?意外な落とし穴とは|シロアリ1番!

COLUMN

シロアリコラム

投稿日 2019.06.04 / 更新日 2023.02.20

シロアリ駆除

どうして加圧注入材を使っていてもシロアリ被害に遭うの?意外な落とし穴とは

WRITER

田中勇史

WRITER

田中 勇史

(公社)日本しろあり対策協会 防除技術委員

田中勇史

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel

加圧注入材は特殊な処理を施して内側に防蟻薬剤を注入した部材です。シロアリ対策にお伺いする物件でも加圧注入材を土台や根太に使用しているケースがよく見受けられます。

加圧注入材には

  • 非常に長期間効力を保つことができる
  • 内側まで薬剤がしみ込んでおり水などで成分が流失しにくい
  • 木材が腐朽しにくくなるのでシロアリを誘引しにくくなる

といったメリットがあります。しかし、一見加圧注入材を使用していればシロアリ対策は不要であるかのように思えますがそれは大きな間違いです。今回は加圧注入材を使用している建物でも防蟻工事を行った方がいい理由についてご紹介していきます。

加圧注入材はどうやってシロアリを防いでいるの?

シロアリの薬剤を知るためのポイントは以下の2点です。1つは「シロアリに対してどのように作用するのか」もう1つは「忌避性」の有無です。

例えば、シロアリ1番!で使用している薬剤「タケロックシリーズ」は、有効成分のクロチアニジンがシロアリの興奮作用を引き起こし、神経を麻痺させる働きを持つ忌避性のない薬剤です。皆さんがお家で使用する殺虫スプレーの有効成分は「ピレスロイド」と呼ばれ、触れた害虫の神経を麻痺させる働きを持ち同時に忌避性のある物質です。

現在加圧注入材にはACQと呼ばれる薬剤群が代表的に使用されています。ACQは正式な名称をAlkaline Copper Quaternaryといい、銅とアルキルアンモニウム(第4アンモニウム塩)の化合物です。ACQ処理をされて緑色になっている木材に見覚えがある方もおられるのではないでしょうか。

ACQはどのような原理で防蟻効果を発揮するのでしょうか。ACQの狙いは、シロアリが体内で飼っている「原生生物」を殺すことにあります。実はシロアリは体内に寄生している生き物の力を借りて生きています。体内の原生生物がいなくなるとシロアリは木材を分解できなくなり死んでしまいます。ACQは「シロアリが食べることにより初めて効果を発揮する薬剤」なのです。

加圧注入材だけではシロアリの侵入を「遮断」できない

しかしこれは言い換えると、「シロアリがその木材を食べようとしない限りは、たとえその上を歩いたとしても防蟻効果は発揮されない」ということになります。また、もう1つの要素である「忌避性」についても、ACQは忌避性を持っていないことからシロアリの活動そのものを抑制することはできません。

シロアリにも好みがあります。うまく加圧注入をした木材を食べようとしてくれればいいのですが、場合によっては加圧注入をした木材を素通りしてその上の処理を施していないフローリング材に被害を及ぼす…といった事も起こり得ます。

また、床下に「被覆配管」があった場合は配管と被覆材の間に通り道ができるので、加圧注入材に触れることすらないまま床材まで到達されてしまう可能性も考えられます。加圧注入材はあくまでも「自分だけを守ることに特化した部材」だということを覚えておきましょう

現場での加工の有無が弱点となることも

確かに加圧注入材は「工場で加工されたままの状態であれば」完全なシロアリ対策がされています。しかし、加圧注入材は実際には現場で木材のサイズを細かく調整するためのカットを行うことがあります。すると加圧注入処の断面は処理が施されていない小口面が露出した状態となります。

小口面は木材の柔らかい部分が露出しており特にシロアリの被害を受けやすい場所なので、シロアリに対して無防備な面を晒してしまうことになります。「加圧注入材を使っているから」という理由だけで安心するのはやはり危険だといえるでしょう。

やはり確実なシロアリ対策を実施することがおすすめ

床下土壌処理によるシロアリ対策

バリア工法によるシロアリ対策であれば、土壌全体に薬剤を散布するのでシロアリは建物内に完全に侵入できなくなり、確実にシロアリ対策を行うことができます。その場合シロアリ薬剤の効力は約5年です。効果が20~30年ほど持続すると言われている加圧注入材に比べると効力の持続年数は短く、その都度再施工を実施するのは大変だと思うかもしれません。

しかし、万が一シロアリの被害に遭ってしまうとその数倍の補修費用が必要となってしまうことからも、シロアリ対策を実施していただく方が安全だと言えるでしょう。メンテナンスの一環としてのシロアリ対策は建物の寿命を延ばすために必要不可欠です。まずはシロアリ1番!の無料点検でお建物の現状を調査してみてはいかがでしょうか。