羽アリの見分け方【画像付き完全解説版】|アリ?シロアリ?|シロアリ1番!
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シロアリコラム
投稿日 2019.06.13 / 更新日 2022.05.16
シロアリ駆除
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羽アリの見分け方【画像付き完全解説版】|アリ?シロアリ?

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田中 勇史
しろあり防除施工士

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。
こんにちは。シロアリ1番!の田中です。
家の中やお庭で羽アリが大量発生してしまった時、気になるのが「この羽アリ、いったい何?建物は大丈夫なの?」ということではないでしょうか。
そこで今回は、羽アリの正体を見分ける方法について解説していきます。
ぜひご活用ください!
目次
そもそも羽アリとは?
羽アリは文字通り羽(翅)の付いたアリという意味で、主にシロアリやアリで使われる表現になります。
本来シロアリはアリの仲間ではなくゴキブリに近い仲間です。しかし形がアリに似ていることからアリという名前が付けられています。そのため、アリではないのですが羽の付いたシロアリも「羽アリ」と呼ばれているのです。
さて、そもそもどうして羽アリは発生するのか。目的は「繁殖」にあります。
シロアリではヤマトシロアリは4月から5月、イエシロアリは6~7月と種類により若干時期は異なるものの、野外においては4月から10月頃にかけ巣から飛び立った女王アリと王アリ(雄アリ)はペアを見つけ新たな巣を作ります。
一方、アリの場合は主に4〜11月頃まで様々な種が連続的に飛び、交尾後に雄は死に女王のみで巣を作ります。
いずれにしても元の場所からより遠くへ移動するために羽が必要というわけですね。
ちなみに、「羽アリ」は一般には「ハネアリ」と読みますが、「ハアリ」でも間違いではありません。
シロアリの羽アリは人体に危害を加える?
黒く、大量にひしめき合う姿を見ると、
「気持ち悪い、噛んだり刺したりしないの? 毒でもあるんじゃないの?」と思うかも知れません。
しかし、シロアリの羽アリが人体に危害を加える事はありません。
もちろん、噛み付いたり刺したりもしませんのでご安心ください。
念の為補足として、6〜7月に発生するアリ、オオハリアリの羽アリは唯一例外的に毒針を持っていて、素手で強く触ると皮膚を刺され腫れる可能性があります。
ほとんど心配する必要はありませんが、どうしても不安であれば素手で触らないのがおすすめです。
重要!シロアリとアリの羽アリを見分ける方法
最初に申し上げたように「羽アリ」と表現をする昆虫は主に、
- シロアリ
- アリ(アリ)
の2種類に大別されます。
ここで重要なのが、目の前に現れた羽アリがシロアリの羽アリなのかということです。なぜならこの2種のうち、家屋に被害をもたらすのはシロアリだからです。
目の前にいる虫がシロアリなのか判断できるようになれば、シロアリ被害の早期発見や予防にもつながります。
また、実のところシロアリとアリを区別するのはそれほど難しくはありません。
特徴には明確な違いがありますので、ぜひ覚えてみてください。
色や大きさでの判別は難しい
まず前提として覚えておいていただきたいのは、シロアリの羽アリかどうかを色や大きさで判断するのは難しいということです。
シロアリの羽アリはサイズで言えば5から10㎜と種類によって幅がかなりある上に、色も種類によって様々で黒や褐色、赤っぽいものまでいます。
また、アリの羽アリについてもサイズは2~20㎜とかなりの幅が存在しており、色も黒や褐色、赤っぽい色をしています。
シロアリもアリも色合いがかなり似ていることが分かりますね。
どちらの羽アリかを色で見分けようとするのは間違いの元になりやすく、おすすめできません。
多くの解説で見られる意外な盲点
シロアリの羽アリについて、多くの書籍やサイトでは見分けるポイントとして次のように紹介されています。
シロアリ | アリの仲間 | |
---|---|---|
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|
翅の形 | 4枚が同じ大きさ | 前翅が大きく後翅が小さい |
翅の模様 | 網目模様が薄い | 網目模様がはっきり |
触覚 | 直線的で数珠状 | くの字型で棒状 |
胴体 | クビレがなく寸胴 | クビレがあり頭部・胸部・腹部に分かれる |
ですが、これらのよく見かける「羽を広げた状態での比較」にはある疑問が生じます。それは、この状態で比較することは可能なのかということです。
実際問題このような形で比較することは簡単ではありません。なぜなら、普通は羽が広がった状態で観察できることはほぼないからです。
もちろん、羽を広げた状態で比較できるのであればそれに越したことはありません。判断材料も多く間違える率もそれなりに下がるでしょう。
しかし、羽アリが発生する状況のことを考えるとあまり現実的とは言えません。
そこで、今回は羽を閉じた際の違いや羽が取れたときの違いを明確にしておくことにします。
翅を閉じているときの違い
羽を広げたときと比べて判断箇所は少なくなるものの、幾つかポイントがあります。
注目するべきポイントは2点、
- 触覚の形状
- 羽の模様と色
です。
シロアリの触覚は直線的で、曲がったりはしません。一方、アリの触覚はくの字に途中から折れ曲がるのが特徴でシロアリとは全く異なる形状をしています。
また、シロアリの羽はくすんだ透明感のない色をしていて羽にある線状の模様(翅脈:しみゃくという)ははっきりとしません。
一方、アリの羽は非常に透明感があり、きれいに透けているのが特徴です。羽の模様も大きくはっきりしているので案外見分けるのは簡単ではないでしょうか。
シロアリ | アリの仲間 | |
---|---|---|
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|
発生時期 | ヤマトシロアリ:4月中旬~5月 イエシロアリ:6月~7月 |
5月~11月に数種が入れ替りに発生 |
触覚 | 直線的で数珠状 | くの字型 |
翅の模様 | 網目模様が薄い | 網目模様がはっきり |
羽が取れたときの違い
実は、羽アリは自ら翅を切除することがあります。翅が無くなった状態の羽アリは見た目はアリと変わりませんが、シロアリなのかアリなのかを判断することは可能です。
ポイントとなるのは、羽がなくなったことにより「クビレ」の有無を容易に観察できるようになった点です。胴体の形に注目してみましょう。
明確なクビレがある場合は「アリ」、クビレがほとんどなく寸胴なのが「シロアリ」です。
シロアリ | アリの仲間 | |
---|---|---|
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![]() |
|
触覚 | 直線的で数珠状 | くの字型で棒状 |
胴体 | クビレがなく寸胴 | クビレがあり頭部・胸部・腹部に分かれる |
羽アリの発生時期
シロアリの羽アリかどうかは、外見だけではなく「発生した時期」で判断することもできます。
シロアリの仲間は日本に20種以上が確認されていますが、その中でも家屋に被害をもたらす種というのは限られ、主に日本では5種ほどが確認されています。
ここでは、私たちが最も身近に接する機会のあるヤマトシロアリとイエシロアリに絞って解説していきます。
ただし、この2種のシロアリであっても羽アリの発生時期は大きく異なるため、区別は付きやすいと思います。
ヤマトシロアリ:4月から5月 日中
イエシロアリ:6月から7月 夕方~夜
イエシロアリの分布は関東エリアでは温暖な気候の沿岸部が中心です。
そのことから、関東圏ではヤマトシロアリのシーズンとなる4月から5月にかけて見られる羽アリに注意しておけば、それ以外(6月~11月)の羽アリはほとんど気にする必要はないと言えます。
羽アリがイエシロアリである率は暖かい地域に行けば行くほど高くなります。関東圏よりも西側にお住まいの方は初夏頃までは羽アリの動向を注意しておくのが良いでしょう。
また、例外的に一部の地域ではアメリカからやってきた外来種である「アメリカカンザイシロアリ」が生息しています。アメリカカンザイシロアリの羽アリシーズンは長く、5月~11月頃までダラダラと屋外で羽アリを飛ばします。

代表的な羽アリの見分け方
ここまでのお話でシロアリとアリの違いは分かっていただけたかと思います。
とはいえ、シロアリ・アリと一概に言っても、たくさんの種類が存在しますし、特徴もそれぞれ異なります。
そこでここからはより踏み込んで、代表的なシロアリとアリの羽アリについてご紹介していきます。
シロアリ
先ほどもご紹介したように、日本に生息するシロアリで家屋被害をもたらすものは日本全国で見れば5種ほどいます。
関東エリアで考えればそのうちの3種を見ておけば良いでしょう。
- ①ヤマトシロアリ
-
主に、春先の4月~5月にかけて特に4月末~5月初め(ゴールデンウイーク前後)に羽アリのピークを迎える日本で最も有名なシロアリです。羽アリの飛ぶ時間帯は午前から午後にかけての日中、日が昇っている時間帯に飛び立つ種類になります。
羽アリが飛び立つ条件としては前日に雨が振り、次の日に晴れて一気に気温が上昇する日がベストで、そのような条件下で観察を行えば高確率で羽アリの群飛を見ることができます。北海道の一部を除き、日本全国に分布しており、羽アリの大きさは5~7㎜とシロアリの中では小型です。体の色は全身が黒色をしており、胸部の一部に黄色い線が入るのが特徴です。
シロアリの体型は寸胴型をしており、頭部、胸部、腹部の3つのパーツから構成されてはいるものの胸部と腹部との境にくびれがないため形が寸胴型に見えるのが特徴です。
この特徴は羽アリになった後も変わることはないため、アリの羽アリと区別する際の目安になります。
シロアリの羽は4枚が別々に動く構造になっているが、飛ぶ力は弱く自ら飛翔するというよりはどちらかと言えば風に流されているといった様子で漂うように飛びます。
- ②イエシロアリ
-
ヤマトシロアリとは一ヶ月遅れで発生するシロアリで6月~7月になると生息地では大群飛が見られます。ヤマトシロアリと同じように地中で生活するいわゆる土中種と呼ばれるタイプのシロアリですが、同じような生活様式をしているからといって必ずしも同じような時間帯に羽アリを飛ばすとは限りません。
イエシロアリの場合は主に暖かく高温日の夕方から夜にかけて群飛行動が見られます。走光性と呼ばれる光に集まる習性が強く、時期になると街灯や建物の灯りに群がっている光景をよく目にします。
比較的温暖な地域に多く、現在、分布の北限は茨城県まで到達していますが、主に西日本での被害が多く報告される種類です。ヤマトシロアリよりも大型で羽アリの大きさは7~10㎜ほど、職蟻は4~6㎜ほどになります。体色がヤマトシロアリとは全く違い、全体的に茶褐色をしているため、他のシロアリとは区別しやすいシロアリです。
- ③アメリカカンザイシロアリ
-
元々は北米原産の外来種で主に5月~9月にかけての暖かい時期に活動が活発化するシロアリです。羽アリの飛ぶ時期も他のシロアリとは異なり、適応能力に長けており例年だと夏場が羽アリの発生が多くなるが中には2月に羽アリが出てきたという事例もあります。
最近では断熱性能の向上にともなり冬場でも暖かい環境ができあがってしまうため、室温などによってはもう1年中羽アリは発生する可能性があると考えられます。
羽アリの大きさは7~10㎜と大型で、羽アリの体色は濃い褐色の体に赤い頭部ととても特徴的なシロアリです。
一部地域に狭く定着しているシロアリのため、見る地域では多いですが見ない地域では全く見ないという、極端なシロアリでもあります。
アリ
アリは日本に300種近くが確認されており、4月から11月にかけて種類ごとに一定の時期に羽アリを飛ばします。
また、家に被害を与えることはほとんどありません。
代表的な2種のアリについてご紹介します。
- ①トビイロケアリ
-
7月に結婚飛行をするアリの代表です。
蒸し暑い日の夜間に飛び立つため、灯りに集まる習性があり、家の灯りが外部に漏れている場合、家の光をめがけて飛んでくることがあります。
僅かな隙間から室内に侵入することがあるため不快害虫として問題になりますが、害はありません。
また、トビイロケアリは家屋に営巣することがあります。腐朽してボロボロになっている木材や過去にシロアリが侵入していた木材、雨漏れで腐っている壁内などはトビイロケアリが好む営巣環境です。その場合は、室内から羽アリが発生する可能性があります。女王アリは8mm、雄アリは4mm程度です。
- ②キイロシリアゲアリ
-
9月に結婚飛行をするアリの代表です。年間を通して最も家屋への誤進入が目立つ種類でもあります。オレンジ色のアリで、蒸し暑い日の夜に飛び立つため、トビイロケアリ同様に家の中への侵入例が非常に多いです。
女王アリは7mm程度、雄アリは2mm程度で特に雄アリが網戸をすり抜けて侵入します。家に巣を作ることは無く無害の羽アリです。
アリやシロアリと間違われやすい羽虫
シロアリ1番!へのご相談の中には、羽アリではない昆虫である場合もあります。例えば、
- メイガ
- クロバネキノコバエ
などです。
これらの昆虫は建物に害はありませんのでご安心ください。

まとめ-羽アリ発生時のフローチャート-
最後に、羽アリが発生したときのフローチャートから、現在の羽アリの発生状況や特徴をもとに対応方法を確認してみましょう。A~Dに分類しましたので、あなたの羽アリはどこに当てはまるでしょうか?
- Aの場合の対処法
-
発生している羽アリは、ヤマトシロアリ(イエシロアリ)の可能性が高いと言えます。
もし羽アリの量が多い場合は、住宅に大きなシロアリ被害が発生している可能性も考えられ、その場合は駆除処理が必要となります。
いずれにしましても、まずは床下の状況を正確に把握することが望まれます。
こちらのページを参考に、信頼のおける業者に点検依頼をしましょう。
- Bの場合の対処法
-
敷地や周囲に生息しているヤマトシロアリ(イエシロアリ)の羽アリと考えられます。
しかし既にシロアリ対策をされており、建物自体は守られているため問題はありません。
- Cの場合の対処法
-
外来種のアメリカカンザイシロアリの羽アリである可能性が考えられます。
とはいえ、アメリカカンザイシロアリの生息地域は非常に局所的です。
こちらのページでアメリカカンザイシロアリについて詳しくお話ししています。一度ご確認いただき、もし特徴が該当するようでしたら早急に専門業者へ調査を依頼しましょう。
- Dの場合の対処法
-
アリの羽アリの可能性が高いです。
アリの羽アリは建物を食い荒らす害虫ではなく、発生も数日から1週間程度で収束します。特に何か手を打つ必要はありません。
ただ、もし羽アリが室内で発生していた場合は留意すべき点が1つあります。それは、シロアリ薬剤の効力が経年で消失している可能性です。
シロアリのリスクが上がっていることに変わりはなく、予防という視点では心配な状況です。
こちらのページを参考に、専門業者に床下を見てもらうといいでしょう。
さいごに
今回は羽アリについて網羅的にまとめてみました。
羽アリは「シロアリ」と「アリ」の2種類に分けられること、注意するべきは「シロアリの羽アリ」だということをお分かりいただけましたでしょうか?
羽アリのような虫は普段からいたるところで見かけるので、気にかけることがあまり無いかもしれません。しかし、いざ自分の家の中で羽アリが大発生してしまうと、「どう対処すべきか」「そもそもどんな生き物なのか」そういったことが分からずに不安になってしまうと思います。
そんな時はぜひこの記事を活用していただけると幸いです。
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