4月の羽アリは?この時期の羽アリを徹底考察!|シロアリ1番!
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シロアリコラム
投稿日 2018.04.23 / 更新日 2021.01.13
シロアリ駆除
テーマ:
4月の羽アリは?この時期の羽アリを徹底考察!

WRITER

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木村 健人
しろあり防除施工士

シロアリ・木材腐朽菌に対する木材保存・薬剤性能評価について在学中に研究。2009年新卒でテオリアハウスクリニックに入社。数千件のシロアリ調査・駆除に従事。現在はWEBマーケティングを担当。
4月に部屋の中に発生する、羽の付いたアリ 。
部屋の中に入り込まれるのも嫌だけど、人間に害は無いの?建物に害はないの?という部分も気になりまよね。ということで、気温が上がり生物の活動が活発になり始める4月シーズンに室内でたびたび出没する羽アリについて徹底考察します。
目次
4月の羽アリは?
4月に建物内に発生、または侵入する羽アリは”ヤマトシロアリ”というシロアリです。特に、4月下旬からはヤマトシロアリの羽アリが一斉に地上に飛び立ちます。その数、数十から100匹単位で一気に発生することがあり問合せが1年でもっとも多い種類と言えます。もしも4月中旬以降に大量の羽アリが家の中で発生したのであれば、直ぐに専門業者に診てもらうのが得策です。
4月に発生する羽アリの特徴
名称 | 羽アリ時期 | 大きさ | 特徴 |
---|---|---|---|
ヤマトシロアリ | 4月下旬~5月 | 5~7mm(職蟻4,5mm) | 黒褐色。胸部は黄色。 |
クロナガアリ | 4月 | 約8mm(職蟻4~5mm) | 黒色 |
アメリカカンザイシロアリ | 一年中(主に6月~9月) | 約7mm(職蟻5~8mm) | 赤褐色で腹部は褐色 |
※クロバネキノコバエ | 4月~11月 | 1mm | 暖かい室内では1年中。灯火によく集まる。 |

ヤマトシロアリの羽アリ
4月に発生するアリ(黒アリ)の羽アリはクロナガアリですが、室内に侵入することは稀です。ですので4月に室内に発生する羽アリはヤマトシロアリの羽アリでほぼ間違いないと言えるでしょう。特に黒色の羽アリで大量に発生したのであればまず最初にヤマトシロアリを疑います。
ヤマトシロアリは、その名の通り”シロアリ”の一種です。シロアリの食料は”木材”であるため、自宅の室内で大量に発生したのであれば建物に営巣していて、”建築部材”を食害している可能性が非常に高いです。
ヤマトシロアリの羽アリの特徴

浴室からシロアリの羽アリが発生
では、ヤマトシロアリの羽アリはどのような特徴があるのでしょう?まず、色は全身が黒色です。”白蟻”という名称ですが、ヤマトシロアリの羽アリは黒色をしています。また、発生直後は黒みがかった薄い羽を付けており、羽を含めた全長は7~9mmの大きさをしています。細かく見ると、全身の黒色に首元だけ”黄色”のアクセントカラーがついています。この黄色いアクセントを見つけられたらヤマトシロアリの羽アリで間違いありません。
帰宅したとき、「羽だけが大量に落ちている…」なんてことがよくあります。シロアリの羽アリは、羽が脆く発生後比較的すぐに羽を落としてしまいます。そのため本体はどこかに逃げ込んで居なくなり、羽だけ残っているのです。逆に考えれば、4月に羽だけ大量に落ちていたのであればヤマトシロアリの可能性が高くなります。では、羽をよく見てみましょう。

羽だけ残されている
ヤマトシロアリの羽は”網の目が細かい”のが最大の特徴です。これを”翅脈”というのですが、その翅脈一本一本が薄いのも特徴です。また、色は全体が黒みがかっていますが、薄く透き通っています。逆に、その他のアリ類の羽も見てみます。
シロアリ以外のアリ類の羽アリは一般的に網の目は幅が広いです。また、それぞれの翅脈はハッキリしていてメリハリがあります。アリの場合は大量の羽が残ることはほとんどないため、大量の羽が落ちている場合はそのほとんどがシロアリの羽アリと考えられます。
羽アリの羽は、気持ちが悪いからと掃除機などで全て処分してしまいがちですが、調査を依頼した時の重要な手がかりになります。ですので全てを処分せずに一部を残しておくとより確実な調査を受けることができます。
ヤマトシロアリとその他のアリの見分け方
4月はヤマトシロアリの羽アリシーズンで間違いないのですが、一部のアリも羽アリを飛ばします。
そこで、シロアリと普通のアリ(黒アリ)の形体的な違いをみてみましょう。
シロアリ | クロアリの仲間 | |
---|---|---|
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|
胴体 | くびれがない | くびれがあり、頭部・胸部・腹部に分かれる |
翅の形 | 前後の翅の大きさがほとんど同じ | 頭に近いほうの翅が長く、お尻に近い翅は短い |
その他 | 翅が取れやすい | 翅は引っぱらないと取れない |
もっとも特徴的なのは、体が”寸胴”なのが”白アリ”、”くびれている”のが”黒アリ”なところです。スズメバチのようなクビレがあれば間違いなく黒アリの羽アリです。黒アリの羽アリであれば、一部を除き建物の木材を食い荒らすことはありませんし人間にも害を及ぼすことはありません。
ヤマトシロアリの羽アリはどのように対処すれば良いの?
室内に出没した虫は気持ち悪いですよね。本当は発生してほしくないけど、それでも出てきてしまった場合は、何かしらの対処をしなくてはなりません。
※絶対に殺虫剤は使用してはいけません。表面に出てきた羽アリは殺虫できますが、巣自体はもっと深いところにあるので、むしろ殺虫剤に当たらなかったシロアリが分散して活動域を拡げてしまう恐れがあります。
- 掃除機で吸い込む
- 家にある掃除機を使って羽アリ、落ちた羽とも吸い込んでしまいましょう。掃除機の中から出てきそう…と思われますが、風圧で直ぐに死んでしまいます。
- テープで塞ぐ
- テープで塞げば、そこからは出なくなります。しかしながら、結局は他の場所を探して出て来ることがありますのであまりオススメできない方法です。
- 熱湯をつかう
- 発生場所が浴室であれば熱湯を沸かしてその熱湯を直接かけてしまえば殺虫できます。
いずれにせよ、ヤマトシロアリの羽アリであれば個人で対処することは困難です。出てきたものを上記方法で処理したら、専門のシロアリ防除業者を手配しましょう。
ヤマトシロアリではないもう一つのシロアリの可能性
ここまで4月に大量発生する羽アリはほぼ「ヤマトシロアリ」の羽アリとご説明してきましたが、ここで違うシロアリの可能性についてもご説明しておきます。
4月に発生する可能性のあるもう一つのシロアリの羽アリは、「アメリカカンザイシロアリ」です。アメリカカンザイシロアリは、名前のとおり北アメリカ原産のシロアリです。最も羽アリを飛ばすのは、経験上6~7月なのですが、暖房や冷房など建物の環境によって1年中飛び立つことが事例としてあります。というのも日本のような四季のある気候で生活してきたシロアリではないためハッキリとした羽アリの発生時期が無いのです。
アメリカカンザイシロアリの羽アリは限定的
もともと日本にいないシロアリですので、全国的に生息しているシロアリでは全くありません。ですから、アメリカカンザイシロアリの羽アリである可能性は極めて低いです。しかしながら、北は宮城県仙台での発見が最北で、都道府県別に見ると、山形県、福島県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、富山県、福井県、三重県、和歌山県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、高知県、福岡県、熊本県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県各地に局部的に分布しています。
「アリ」でも「シロアリ」でもない?

アリでもシロアリでもないけど、よく間違われる虫もご紹介しておきます。「クロバネキノコバエ」です。体長1mmほどのコバエの仲間です。真っ黒の体色のためクロアリやシロアリの羽アリと間違われる事が多々あります。こちらは、室内外のどちらからも発生する可能性があり、厄介な不快害虫です。
このコバエの発生は、室内の植物の土壌からが大半です。観葉植物などがあるお家で、室内の灯りに小さな羽の付いた黒い虫が集まるようでしたら、このクロバネキノコバエかもしれません。アリの羽アリと同様に、夜の室内の灯りに誘引されることがあるため、室外から入ってくることも良くあります。その場合はアリの羽アリ同様の対策が有効です。
逆に、室内の観葉植物が発生源だとするととても厄介で、土の大部分を入れ替える必要があります。というのも、土の内部に卵を産み付けられて、その土中にウジが大量にうごめいているからです。上の写真は観葉植物の土壌にクロバネキノコバエが大発生したものです。よく見ると羽化中のものや卵などがたくさんあります。
最後に
ここまで、4月に室内に発生する羽アリをご紹介してきました。4月の羽アリはヤマトシロアリの羽アリであることが大半です。雨上がりの晴れた日の昼前に大量に発生した羽アリを見ると慌ててしまいますが、羽アリ自体には害はありません。また、羽アリの発生はずっと続くことはなく数日で止まります。ただ、だからと言って放置してしまうと建物内に巣作ったシロアリはそのまま建物の食害を続けてしまいます。信頼できるシロアリ防除業者を手配して建物のシロアリ被害状況を調査してもらい、必要に応じて駆除を実施する事が大切です。