9月の羽アリは?この時期の羽アリを徹底考察!|シロアリ1番!
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シロアリコラム
投稿日 2018.08.23 / 更新日 2021.01.13
シロアリ駆除
テーマ:
9月の羽アリは?この時期の羽アリを徹底考察!

WRITER

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木村 健人
しろあり防除施工士

シロアリ・木材腐朽菌に対する木材保存・薬剤性能評価について在学中に研究。2009年新卒でテオリアハウスクリニックに入社。数千件のシロアリ調査・駆除に従事。現在はWEBマーケティングを担当。
9月に部屋の中に紛れ込んでくる、羽の付いたアリ。
家の中に入り込まれるのも嫌だけど、人間に害は無いの?建物に害はないの?という部分も気になりまよね。ということで、羽アリの発生が多発する9月シーズンに室内でたびたび出没する羽アリについて徹底考察します。
目次
9月の羽アリは?
9月に発生する羽アリの代表は「キイロシリアゲアリ」という黄色いアリです。また、9月に発生するアリは建物を食い荒らす「シロアリ」ではありません(※例外はあります)。ということは、そのほとんどが「アリ(黒アリ)」の羽アリということになります。さらに、室内に侵入してしまう羽アリは更に限られます。9月に家屋内に侵入することがある羽アリを下記にまとめました。
名称 | 羽アリ時期 | 大きさ | 特徴 |
---|---|---|---|
キイロシリアゲアリ | 8月下旬~9月 | 2mm~7mm(職蟻2~3mm) | 黄褐色。灯火によく集まる。 |
サクラアリ | 9月~11月 | 2~4mm(職蟻1.5mm) | 褐色。触角と足は黄褐色。 |
アメリカカンザイシロアリ | 一年中(主に6月~9月) | 約7mm(職蟻5~8mm) | 赤褐色で腹部は褐色 |
※クロバネキノコバエ | 4月~11月 | 1mm | 暖かい室内では1年中。灯火によく集まる。 |
最初にご説明したとおり9月はキイロシリアゲアリの羽アリの問い合わせが多いです。黄褐色の羽アリであればまず最初にキイロシリアゲアリを疑います。10月に近づくと、サクラアリという2mm~4mm程の黒褐色の羽アリがみられるようになります。

キイロシリアゲアリの羽アリ。左がメス、右がオス。
キイロシリアゲアリのオスの羽アリはメスよりも身体が小さく、網戸のメッシュを通過することがあります。また、キイロシリアゲアリの羽アリは灯火に集まる習性(走光性という)が非常に高く、9月に部屋に入り込んだ羽アリの大多数を占めるはずです。

キイロシリアゲアリの女王アリ

キイロシリアゲアリのオスアリ

キイロシリアゲアリの働き蟻と女王
室内に入ってきた羽アリはどのように対処すれば良いの?
室内に出没した虫は気持ち悪いですよね。本当は入ってきてほしくないけど、それでも入ってきてしまった場合は、何かしらの対処をしなくてはなりません。
1.ほとんどの羽アリは無害
ティッシュで軽く包んであげて、そっと外に逃がしてあげましょう。とはいえ、噛んだり、刺したりするアリがいるのも事実。種類がわからない限りは素手で掴まないようにしましょう。
2.やむを得ず駆除する場合は
本来は、間違って入り込んでしまった昆虫。ですからむやみに殺してしまうのも考えものなのです。とはいえ家の中にずっと居られていても困りますよね。死んだ羽アリが異物混入…なんてことも考えられますので、そういうときは家庭用の殺虫剤(スプレータイプ)を使って駆除をしましょう。簡単に駆除できるはずです。
3.他にもこんな方法が…
掃除機を使って羽を休めている羽アリを吸い込んでしまいましょう。掃除機の中から出てきそう…と思われますが、風圧で直ぐに死んでしまいます。
羽アリが入り込まない対策をしよう
羽アリが入ってくる理由の大半は、夜の部屋灯りにつられて入ってしまうことにあります。網戸をしているのになぜ…。と疑問に思われたかも知れませんが、「キイロシリアゲアリ」や「サクラアリ」の雄の羽アリは非常に小型です。網戸のメッシュの広さによっては通過されてしまうのです。
さらに、網戸と窓の間にも窓の開け具合によってすき間が生じます。そこを羽アリは通り道にして入ってくることもあるのです。ということは、
- 夜は室内の灯りが外に漏れないよう遮光カーテンで閉める
- 窓を中途半端に開けない。(完全に開けるか完全に閉めるかにする)
- できれば窓は閉める。
- 網戸をより細かいものに張り替える。
もちろん、ドアを開け閉めしたりと生活をする中で入り込まれることもありますので100%完全にとめる事はできません。しかし、上記のような対策をするだけで羽アリの侵入は大幅に防ぐことができます。
ちなみに毒エサタイプの駆除剤が効くって聞いたけど

クロアリに毒エサタイプの駆除剤(ベイト剤)が効くという話をよくききますが、これは本当なのでしょうか。実は、羽アリには全く効きません。アリの羽アリが出てきたから慌てて毒エサを室内に設置する必要はないのです。効くのは、羽アリ以外のクロアリ(働き蟻)が室内に発生しているとき。なので、羽アリだけであれば、市販のエアゾール殺虫剤で駆除をしてみてください。
とは言え、シロアリの可能性もゼロではない
ここまで9月の羽アリはほぼ「アリ」の羽アリとご説明してきましたが、ここでシロアリの可能性についてもご説明しておきます。
9月に発生する可能性のあるシロアリの羽アリは、「アメリカカンザイシロアリ」です。アメリカカンザイシロアリは、名前のとおり北アメリカ(西海岸)原産のシロアリです。最も羽アリを飛ばすのは、経験上6~7月なのですが、暖房や冷房など建物の環境によって1年中飛び立つことが事例としてあります。というのも日本のような四季のある気候で生活してきたシロアリではないためハッキリとした羽アリの発生時期が無いのです。
アメリカカンザイシロアリの羽アリは限定的
もともと日本にいないシロアリですので、全国的に生息しているシロアリでは全くありません。ですから、アメリカカンザイシロアリの羽アリである可能性は極めて低いです。しかしながら、北は宮城県仙台での発見が最北で、都道府県別に見ると、山形県、福島県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、富山県、福井県、三重県、和歌山県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、高知県、福岡県、熊本県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県各地に局部的に分布しています。
www.shiroari-ichiban.com/contents/kanzaisiroari/
「アリ」でも「シロアリ」でもない?
アリでもシロアリでもないけど、よく間違われる虫もご紹介しておきます。「クロバネキノコバエ」です。体長1mmほどのコバエの仲間です。真っ黒の体色のためクロアリやシロアリの羽アリと間違われる事が多々あります。こちらは、室内外のどちらからも発生する可能性があり、厄介な不快害虫です。

このコバエの発生は、室内の植物の土壌からが大半です。観葉植物などがあるお家で、室内の灯りに小さな羽の付いた黒い虫が集まるようでしたら、このクロバネキノコバエかもしれません。アリの羽アリと同様に、夜の室内の灯りに誘引されることがあるため、室外から入ってくることも良くあります。その場合はアリの羽アリ同様の対策が有効です。

逆に、室内の観葉植物が発生源だとするととても厄介で、土の大部分を入れ替える必要があります。というのも、土の内部に卵を産み付けられて、その土中にウジが大量にうごめいているからです。上の写真は観葉植物の土壌にクロバネキノコバエが大発生したものです。よく見ると羽化中のものや卵などがたくさんあります。
最後に…アリの羽アリが室内のすき間から湧き出てくる場合
ここまで、9月に室内に侵入する羽アリや羽アリに似た昆虫をご紹介してきました。9月の羽アリは害の無いものが大半です。ですので、慌てることなく落ち着いて対処してみてください。上記クロアリ類の羽アリであれば、数日で羽アリの侵入は落ち着くはずです。
しかしながら、「浴室のタイル目地のすき間」や「部屋の内装材の継目」など、室内からクロアリの羽アリが発生する場合は注意が必要です。


サクラアリは基本的に屋外性の黒アリですが、建物に巣を作られる事例があります。自然環境下ではやや湿った土中に営巣するため、建物内に営巣するときは湿気のある床下や壁下に営巣することが多いです。そして、アリが発生している建物はシロアリ被害や木材の腐れが併発していることが多いのも事実。

サクラアリの働き蟻は1mmから1.5mmと超小型。
外から侵入しているだけの場合は問題ありませんが、このように、お部屋のすき間で羽アリが発生するような場合は、一度床下の調査を依頼してみましょう。もしかしたらシロアリの被害や、木材の腐れ(腐朽)を発見出来るかもしれません。
※シロアリ1番!の無料調査はシロアリが対象です。黒アリ調査のみの場合は有償調査となります。