ベタ基礎でもシロアリ被害はある!侵入ポイント・対策方法まとめ|シロアリ1番!

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シロアリコラム

投稿日 2023.12.06 / 更新日 2023.12.08

シロアリ駆除

ベタ基礎でもシロアリ被害はある!侵入ポイント・対策方法まとめ

WRITER

田中勇史

WRITER

田中 勇史

(公社)日本しろあり対策協会 防除技術委員

田中勇史

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel

ベタ基礎はシロアリ被害を受けないと思われがちです。しかし、ベタ基礎であってもシロアリ被害は決してゼロではなく、度々被害物件を見かけます。

コンクリートで囲われた床下にシロアリが入ってくる場所なんてあるのか」と疑問に思われるかもしれませんが、事実としてシロアリは侵入して建物を食害します。

当記事では、そんなベタ基礎におけるシロアリ被害について、特徴や侵入経路、対策方法などについて解説します。

ベタ基礎は他と何が違う?

ベタ基礎は住宅の基礎構造の一つで、近年最も採用されている主流の基礎です。特徴は底盤部分と立ち上がり部分を鉄筋コンクリートで一体化して、基礎全面で建物の重みを支えている点です。面で荷重を支えるということは、建物の重みを分散させることができるため耐震性を高くすることができます。

ベタ基礎

また、基礎コンクリート全体を一体化している点は、隙間ができにくくシロアリの侵入を防ぎやすいメリットがあります。さらに、底盤のコンクリートも150mm程度と分厚いため土壌からの湿気が床下にこもりにくいのもベタ基礎の特徴です。

布基礎との違い

布基礎(ぬのぎそ)とは、逆T字形状の基礎を配置させた線状の基礎です。ベタ基礎は面で荷重全体を支える構造だったのに対し、布基礎は立上り基礎に沿って線で荷重を支えています。ベタ基礎が主流となる以前はこの布基礎が住宅における基礎の主流でした。

ベタ基礎と布基礎の荷重のかかり方

ベタ基礎 布基礎
・耐震性が高い
・湿気がこもりにくい
・シロアリが入りにくい
・価格が割高
・耐震性はベタ基礎に劣る
・湿気がこもりやすい
・シロアリが入りやすい

 
布基礎の地面は土壌、防湿シート、防湿コンクリートの3通りの仕上げ方があり、それぞれ見た目が全く異なるため別構造だと勘違いされることがあります。しかし、地面の仕上げは防湿性能を向上させることを目的としており、構造的には関係の無い部分です。

また、シロアリの侵入については地面が土壌、防湿シート、防湿コンクリートの仕様に関わらずベタ基礎よりもリスクが高くなります。これは、底面が基礎一体構造になっていないことが大きな理由です。

布基礎でも防湿コンクリートを敷けばシロアリは入らないと思われがちですが、防湿コンクリートの継ぎ目には隙間が空いているので侵入されるリスクはベタ基礎よりも高いと言えます。

ベタ基礎もシロアリ被害を受ける可能性がある

布基礎と比較してシロアリが入りにくい構造であるベタ基礎。そんなベタ基礎でもシロアリ被害を受ける可能性はゼロではありません。私たち人間にとって隙間が無いように見えていても、シロアリの目線で見れば侵入できるスポットが実はいくつもあります

1.セパレーター金具の隙間

ベタ基礎において床下から侵入するパターンの大半がセパレーター金具からです。セパレーターとはコンクリート型枠を固定するための金具のことで、施工後も基礎内に残されます。

セパレーターからのシロアリ侵入

(写真1)セパレーターからシロアリが侵入した事例。隙間が無いように見えてもシロアリは侵入する。
セパレーターからのシロアリ被害

(写真2)セパレーターから土台まで蟻道が登っている事例。

 
セパレーターとコンクリートの間には隙間ができることがあり、そこからシロアリが侵入します。また、セパレーターが水分で腐食することがあり、その腐食部分からシロアリが入ることもあります。

2.配管・スリーブ

給排水管などを通すため基礎コンクリートに設けられるのがスリーブ(穴)です。底盤にスリーブが設けられ外周側へ配管されるため、スリーブと配管の間の隙間をシロアリが侵入するリスクがあります。

ベタ基礎の配管

(写真1)ベタ基礎の配管。基礎底盤から建物外部に抜けている。
基礎からの侵入

(写真2)基礎を通したアース線の穴からシロアリが侵入している事例。

 
また、ガス管やPF管、アース線などを基礎の立ち上がりのスリーブへ通すことがあります。そこからもシロアリが侵入する可能性があり注意が必要です。

3.水抜き穴

水抜き穴とは、建築中に基礎内に溜まった雨水を排出するために設けられる穴のことです。この穴は完成時には埋め戻されることが多いのですが、そのまま穴が開いたまま仕上げる場合もあります。その場合、シロアリの通り道となって基礎内部に侵入するルートとなり得ます。

水抜き穴からのシロアリ侵入

(写真1)水抜き穴からシロアリの蟻道が伸び始めているところ。
水抜き穴からのシロアリ侵入

(写真2)水抜き穴から土台まで伸びた蟻道。ここまでくると住宅に被害が生じる。

 
また、仮にコンクリートで穴を埋め戻しても、乾燥・伸縮によって隙間が生じる可能性があるため、万全とは言えません。

4.ひび割れ

基礎一体構造のベタ基礎において、地面から貫通するほどのひび割れはほぼ見かけません。そのため、ひび割れからの侵入はほとんど見かけませんが可能性としてのリスクは存在します。例えば、不同沈下や大地震などで生じるひび割れです。

基礎のヒビ割れ

(写真)新築時でも基礎立ち上がりにヒビが入ることがある。

ひび割れからシロアリが入る場合、割れ目に土を詰めて侵入します。表面からは確認しづらく、見落とす危険性があるため1mm以上のひび割れが見られる場合は要注意です。

床下だけではないベタ基礎の侵入箇所

ここまでベタ基礎の床下からシロアリが侵入する恐れがあるポイントを解説しましたが、ベタ基礎の住宅でシロアリ被害を受けるポイントは床下だけではありません。むしろ、ここで解説する侵入経路が近年増えてきています。

1.玄関や勝手口、土間スペース

玄関は土足で出入りができるよう非常に頑丈な作りをしています。ぱっと見た限りはシロアリが侵入する危険性が全くないように感じるかもしれません。しかし、玄関などタイルで囲われた作りはシロアリ被害が昔から非常に多い場所です。

(写真1)玄関の上がり框にシロアリ被害が見られた事例。

(写真2)框下のタイルとの継ぎ目にシロアリの食害が見られる。

 
玄関には床下がなく、タイルの下はコンクリートで埋められています。このコンクリートは伸縮によって基礎との間に隙間が生るため、タイルの裏側にシロアリの通路が出来てしまうのです。ここを伝うと上がり框(かまち)や巾木など玄関の内装に直結します。

ベタ基礎の玄関

(写真1)手前のポーチと玄関の土間コンクリートが繋がった構造。
ベタ基礎玄関の侵入経路

(図1)ベタ基礎の玄関部分の断面図。

 
ベタ基礎の玄関で特に被害が多いのは、ポーチと玄関の土間が一体打ちになっている構造です。建物外部であるポーチから建物内部の玄関まで繋がっているためシロアリが容易に侵入出来てしまいます。

また、勝手口や土間スペースについても玄関と同じ理由で被害を受けるリスクがあります。

2.基礎断熱材

ベタ基礎では断熱の仕様が主に2種類あります。一つは床断熱、もう一つが基礎断熱(基礎外断熱、基礎内断熱)です。この中でシロアリ被害を受けやすいのは基礎外断熱の構造です。

基礎断熱の断面図

(図1)基礎断熱の断面図。外側に貼り付けるのが外断熱、床下側に貼り付けるのが内断熱。
床断熱

(図2)床断熱は床下に設置するため床下は外気にさらされる。

 

基礎外断熱 基礎内断熱 床断熱
・基礎の外側に断熱材を設置する
シロアリに侵入されやすい
・基礎の内側に断熱材を設置する
・シロアリの侵入を助長する恐れがある
・床の床下側に断熱材を設置する
・シロアリの侵入とは関係がない

 
基礎外断熱は、立ち上がり基礎の外側(建物外周側)を発泡プラスチック系断熱材で覆う工法です。室内だけでなく床下空間も外気から遮断できるため、床で断熱する床断熱よりも断熱性や気密性に優れています。

しかし、基礎に貼り付けた断熱材はシロアリの通り道として利用されやすく、被害例が非常に多くなっています。また、断熱材と基礎の間や、断熱材と化粧材(化粧モルタル)の間に隙間ができることも多く、そこからシロアリが侵入して住宅内を食害する例が見られます。

基礎外断熱のシロアリ被害

(写真1)基礎外断熱のシロアリ被害例。
基礎外基礎のシロアリ侵入経路

(図1)基礎外断熱でシロアリが通り道とするルート。

 
元々基礎断熱はシロアリ被害の少ない北海道で作られた工法です。それをシロアリ被害の多い地域でそのまま採用したことがそもそもの問題でした。最近では防蟻断熱材を使用するなど防蟻対策をするのが普通となっています。

ただ、対策がなされたとは言え、基礎外断熱は住宅の外側に施工される工法です。経年で化粧材に隙間が生じることでシロアリの侵入を許してしまう恐れがある以上、注意すべきポイントであることに変わりはありません。

3.タイルデッキ(タイルテラス)

お庭に張り出したタイル張りのデッキ、通称タイルデッキ。ウッドデッキと異なりメンテナンスが簡単で実用性が高いことから採用されることも多くなっています。ウッドデッキと違いシロアリ被害も無縁と思われがちですが、そうではありません。むしろ、危険性が今非常に高まっています

タイルデッキ

(写真1)タイルデッキの例。基礎を覆うような形状で作られる。
タイルデッキのシロアリの侵入経路

(図1)タイルデッキの断面図。シロアリはデッキと基礎の隙間から侵入する。

 
どういうことかと言うと、原理は基礎外断熱に近いです。タイルデッキを施工すると立ち上がり基礎が覆われ明かりと通気が閉ざされます。シロアリは暗闇と湿気を好むため、タイルデッキと基礎の間にできる隙間が絶好の通り道となってしまうわけです。

ベタ基礎で床断熱仕様の場合、基礎と外壁の間には通風のために基礎パッキン工法がとられます。この基礎パッキンの隙間を伝うと床下に到達できてしまうため、タイルデッキによって床下へのアクセスが簡単なものになってしまいます。

シロアリ被害予防の観点からするとウッドデッキよりもタイルデッキのほうが怖い構造と言えます

ベタ基礎のシロアリ対策

ここまで解説したように、ベタ基礎であっても床下や玄関、外周からシロアリが侵入する可能性があります。つまりベタ基礎であってもシロアリ対策は不要、とは言うことができません。ベタ基礎の建物をシロアリから守るためにはどういった対処をすべきなのでしょうか。

新築を建てるときに対策するには

ベタ基礎の弱点を知った上で、新築時にシロアリ対策を徹底させる方法もあります。以下に具体的な方法を解説します。

土壌の防蟻処理も実施する

新築時には防蟻・防腐処理として、地盤と木部に薬剤散布を行います。しかし、フラット35の在来木造、枠組壁工法及び丸太組構法の耐久性基準において、ベタ基礎で施工すれば地盤への薬剤処理は不要となっているのです。

そのため、木部への薬剤処理は行われても地盤面への薬剤処理は行われないことが往々にしてあります。弊社ではシロアリのリスクがある以上、ベタ基礎の住宅であっても土壌および木部への処理を行っています。木部だけしか処理をしていない場合には、土壌処理も併せて行うようにすることが大切です

半セパを使用する

基礎打設時に使用するセパレーターは、基礎内側と外側が貫通するためにシロアリの侵入経路となる恐れがあります。これを回避するには、半分の長さのセパレーター「半セパ」を採用することです。半セパは基礎内側に設置するため、外側まで貫通しません。

下記リンクは弊社(テオリアハウスクリニック)が取材協力した日経XTECHのベタ基礎被害記事です。半セパの使用方法が解説されています。

玄関はポーチと土間コンクリートを連続させない

前述のとおり、建物外のポーチと建物内の玄関の土間を一体打ちしないことが大切です。しっかり基礎で区切り、シロアリの通り道を作らない構造にする必要があります。

水抜き穴を埋め戻す

水抜き穴の処理はハウスメーカーにより異なります。埋める場合もあればそのまま残す場合もあります。そのまま残すメリットもありますが、シロアリの観点からすると水抜き穴を埋め戻すことをおすすめします。その際、水抜き穴には土壌用防蟻剤を処理しておくことでより強固な対策となるはずです。

基礎外断熱を採用しない

シロアリ被害事例の多い基礎外断熱を採用しないことで被害予防に繋がります。具体的には床断熱で断熱を取る、または基礎内断熱を採用することです。現在は基礎外断熱の防蟻対策もしっかりされていますが、シロアリが活発な関東以西の地域であれば万が一に備えることが大切です。

自分で対処することは可能?

ここまで解説した侵入経路を遮断することができれば、部分的ならご自身で対処することも不可能ではありません。具体的には、床下の隙間を防蟻シールなどで埋めるなどの物理的手法を使った対策が有効でしょう。ただ、どこが隙間なのかを見て判断するのは非常に難しく、一般の方がしっかり対処するのは実際には難しいと思われます。

ベタ基礎の住宅であれば新築から5年間はシロアリ保証が付いています。5年が経過した時点でしっかり保証元に点検をしてもらい、被害の有無を確認してもらう方がスマートです。

新築5年後以降は定期的な点検と防蟻メンテナンスを

新築から5年でシロアリの保証は満了します。その際に保証元の定期点検があるのでしっかり受けるようにしましょう。保証はシロアリから家を守るための保険のようなもので、再度予防工事を行えば保証が5年間延長されます

予防工事は床下への再処理、玄関の薬剤注入を基本として、その建物に合った施工を行います。いつ被害をうけるか予測のできないシロアリ被害から家を守るための重要なメンテナンスとなりますので、「ベタ基礎だから全く考えていないかった」という方こそ、この機会にご検討いただければと思います。

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