シロアリの卵って?形状・見つけ方・対処法などをご紹介|シロアリ1番!

COLUMN

シロアリコラム

投稿日 2020.11.09 / 更新日 2021.01.13

シロアリ駆除

シロアリの卵って?形状・見つけ方・対処法などをご紹介

WRITER

田中勇史

WRITER

田中 勇史

(公社)日本しろあり対策協会 防除技術委員

田中勇史

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel

今回ご紹介するのは「シロアリの卵」についてです。シロアリについてまとめられている記事はたくさん見かけますが、シロアリの卵についての情報はあまり知られていないのではないかと思います。今日はそんな知られざるシロアリの卵の世界にお連れします。

シロアリ1番!が選ばれる理由

シロアリの卵を直接見る機会はほぼない

私たちがシロアリの卵を見る機会はあるのでしょうか。答えは「No」です。

限りなくゼロに近いと言えるでしょう。

「そもそもシロアリを見たことがない」という人もいるくらい、シロアリは人目につかない土の下で暮らしていますが、シロアリの卵はその中でも最も奥深くの安全な場所で育てられているからです。

もし「なんとかしてシロアリの卵を見つけたい」という時は野外に放置された枯れ木の裏側を見てまわりましょう。

浅い場所に巣を作っていることがあり、それを見つけることができた時は王やたくさんの副女王と一緒にシロアリの卵も見れることがあります。

とはいえそれも非常にレアケースなので、やはり一般の方がシロアリの卵を見ることは実質的には不可能といっていいでしょう。

シロアリの卵の見た目の特徴

ここまでお話した通りシロアリの卵の観察は非常に困難ですが、それを比較的簡単に行うことができる方法があります。

それは飼育下における観察です。

「シロアリを飼育?」と思われた方も多いと思いますが、シロアリは飼育することができます。

実際にシロアリ1番!でも薬剤試験用や生態解明のためにシロアリを飼育しています。この方法ならば間近でシロアリの卵を見ることができるというわけです。

ではシロアリの卵はいったいどんな形をしているのでしょうか。

シロアリの卵は半透明の細長い楕円形の形をしていてとても綺麗です。また卵は一つ一つバラバラに置かれるのではなく一か所に山積みにされ(卵塊)、働きアリ達に管理されています。

シロアリとクロアリの卵は形が似ている

シロアリの卵はある虫の卵にとてもよく似ています。それはクロアリです。

知らない方も多いかもしれませんが、クロアリとシロアリは生物種としては全く違う生き物です。シロアリはゴキブリの仲間、クロアリはハチの仲間に分類されます。

それなのにどうして同じ形の卵を産むのでしょうか。

実は生き物は、種が全く異なっても住んでいる場所や生活の方法が似ていると同じような姿になることが知られています。このことを「収斂進化」といいます。

例えば土の中に住む昆虫のケラと哺乳類のモグラは足の構造がとても似ています。

こういった現象は見た目だけでなく、卵でも同じことがいえるケースがあります。魚の卵がいい例で、種類が違っても球体をしています。

シロアリとクロアリの卵が似ているのも収斂進化の例といっていいでしょう。

シロアリの女王は毎日たくさんの卵を産んでいる

巣を創ったシロアリの女王は最初は自ら王のシロアリと一緒に卵の世話もします。しかし巣が大きくなり働きアリが増えてくると、やがて女王アリは卵を産むことだけに専念するようになります。

そうなると一気に産卵の数は増加しコロニーも急激に大きくなります。

女王アリが一日に産める卵の数は種によりかなりのバラつきがありますが、例えばヤマトシロアリの女王は25個程度と言われており、一年間だと9,000個ほどということになります。

これだけでもとても多いと感じてしまうかもしれませんが、アフリカのシロアリは一日で6000~7000もの膨大な数を産む種も存在しています。

あれだけ小さな生き物が毎日休むことなく産み続けていることを想像するととても驚異的な数字だと思います。

シロアリの駆除では卵を意識する必要はない

どんどん増えていくシロアリの卵の話を聞くと「シロアリの卵もちゃんと駆除しないと!」と思われる方もいるかも知れませんが、実際はシロアリ駆除において卵のことを考える必要はありません。

なぜなら、卵は自力で生きることができないからです。

シロアリの卵そのものを駆除しなくても、その世話を行う働きアリ、さらには働きアリを産み出す女王アリや王アリを駆除してしまえばおのずと巣全体の駆除を行うことができます。

ベイト工法と呼ばれるシロアリ駆除は正にこの方法で行います。

働きアリに毒餌を巣まで持ち帰ってもらい、それを最終的には女王アリや王アリまで行き渡らせて死滅させるのがベイト工法の狙いです。

そうなってしまえば卵が育つことはありません。

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ちなみに床下に直接薬剤を散布する液剤施工でも駆除の際の考え方は同じです。

液剤施工では建物に入り込んだシロアリを直接駆除した上で土壌や木部に新しいシロアリが入って来れなくする薬剤のバリアを作ります。

もし建物のどこかで卵が産み出されていたとしてもそれを育てるシロアリがいなくなるので自然と駆除を行うことができます。

まとめ

今回はシロアリの卵について見つけ方や形状、対処法など様々な角度からご紹介してきました。

卵というコアな世界を通して、シロアリの知識をより深められたのではないでしょうか。

シロアリの卵は駆除の必要がありませんが、卵を産み出すシロアリそのものを放置してしまうと、どんどん数が増えてやがて大きな被害をもたらしてしまうかもしれません。

もし、ご自宅のシロアリ対策をしていない場合はメンテナンスの一環として予防工事をおすすめします。

シロアリ1番!では現状を確認するための床下の無料調査も行なっていますので、気になった方は是非お気軽にご相談ください!

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