シロアリに天敵はいる?|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2020.06.18 / 更新日 2021.01.13
住まいの知識
シロアリに天敵はいる?

WRITER

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上野山 典之
しろあり防除施工士

2015年新卒でテオリアハウスクリニックに入社。シロアリ防除工事に従事し、1000件を超える住宅メンテナンスに携わる。毒物劇物取扱責任者や第二種電気工事士など多数の資格を所有。
このような疑問にお答えします。
このページを読んでいただくと
- シロアリの天敵
- 天敵に対してシロアリが取る対策
これらについて知ることができます。シロアリは「大事な建物を食べてしまう害虫」というイメージが強いですが、生き物としては非常に弱く環境には沢山の天敵が存在します。
シロアリの天敵について学んでいきましょう!
目次
シロアリの天敵-環境編-
シロアリは弱い生き物です。「環境そのもの」もシロアリの天敵になり得ます。具体的には
- 光
- 乾燥
などです。
シロアリは普通のアリに比べてめったに見かけない生き物です。ですので
という人も多いのではないかと思います。これはシロアリが意識的に光や乾燥を避けて生活しているからです。
シロアリの皮膚はとても薄いので光に当たると大きなダメージを受けてしまいます。シロアリが光の当たらない場所で生活をするのも天敵である「光」から自分の身を守るためです。
また、虫類全般に言えることですがシロアリも同様に「湿気」を好みます。逆に十分な湿気を確保できる環境でないとシロアリは活動そのものが難しくなってしまいます。
シロアリが苦手な環境を知ることは「予防」にも活かせる
光や乾燥がシロアリにとって天敵となることを知っておけば、シロアリの「予防」としても応用を行うことが可能です。例えば、庭まわりでなるべく廃材を放置しない、基礎に荷物を立てかけない、などの対策や床下に換気扇を設置する、といった対策を
を行う上でもとても大切な要素になりますので覚えておいて損はありません。
シロアリの天敵-生物編-
シロアリは生物的に弱い生き物なので多くの他の生き物のエサとされます。
- 鳥
- トカゲ
- アリ
- クモ
- カエル
などです。
先程もご紹介したとおりシロアリは土の中で生活をする生き物ですしこれらの生き物とは生息する環境が全く異なります。
と思うかも知れませんが、シロアリには1つだけ地表に姿を表すタイミングがあります。それが「群飛」を行う時です。
シロアリは巣の中の個体数が増えたときにその一部が新たな巣を作るために外の世界に飛び出します。しかしそのシロアリの大半は上記のような天敵となる生き物の餌となります。
シロアリは動きが遅く毒もないので容易に捉えることができ、かつ他の生き物の栄養源となるタンパク質を含んでいるため、これほど都合の良い標的はいません。中にはシロアリの群飛のタイミングを経験から知っており、今か今かと待ち構えるような生き物も存在します。
シロアリの羽アリは一度にものすごい量の個体が一斉に飛び立つ習性を持っていますが、これは少しでも天敵から生き残る可能性を高くするためです。こちらの動画ではシロアリが羽アリとなって地上に出てきたところを捕食する様子を紹介しているので興味がある方はご覧ください。
天敵を利用してシロアリの対策はできるか?
と考えておられる方をたまに見かけることがありますがそれは誤りです。
確かに多くの肉食系・雑食系の生き物はシロアリを餌として食べることができます。しかし先程もご紹介したようにシロアリは、羽アリとして地上に出てくる時以外はそれらの生き物の前に姿を表すことをありません。
また、羽アリを発生させるということは巣の中のシロアリの数が十分に増えたこと、つまり私たちにとっては「既にシロアリの被害が大きく進行してしまっている状態である」ということになります。
普通の蟻であればシロアリのコロニーを襲って巣ごと乗っ取ってしまうケースも一部存在しますが、シロアリの対策としてはあまり現実的ではありません。実際にお伺いしたお家の床下でもシロアリと普通のアリが別々の場所で生活をしていることもありました。
「自分の家の周りにはクロアリがたくさんいるし、シロアリがいたらすぐに食べてしまうだろうからうちの家は安心だな」と思ってしまわないように注意しましょう。
シロアリの天敵への対策
自然界の中では非常に非力なシロアリですが、私たち人類が誕生するよりもずっと前から地球上で生活を続けています。シロアリはどうやって天敵から自分の身を守ってきたのでしょうか。その大半は「数を増やす」事によって生き延びてきました。
種や地域によって大きさや生息数、活動範囲などはまちまちですが、地球上広範な地域で生息しており、日本にも北海道の一部の地域を除きほぼ全域に生息しています。
また、シロアリの中には「数の繁殖力」ではなく「個の環境への適応能力」を武器に生き延びている種も存在します。カンザイシロアリは他の多くのシロアリと違い個体の数を増やす能力は高くありませんが、土の中での生活を行なわずに木材の中でのみ生活を行う、巣の創始者である王や女王アリが万が一死んでしまったときでもコロニーを維持できるような仕組みを備えているなど、独自の生態で天敵から身を守る工夫をしています。
まとめ

今回はシロアリの天敵やシロアリが天敵から身を護るための方法についてご紹介してきました。
シロアリは確かに天敵がたくさんいる弱い生き物ですが、人間よりもずっと長い間生き延びてきたことも事実です。また、日頃姿を現すことはありませんが、毎日地面の下ではしっかりと活動を行っています。そのため、正しい知識を持っておかないと、私たちの住まいが被害に遭ってしまう事も考えられます。
下記のページではシロアリについて様々な角度から紹介を行なっていますのでもし「もっと詳しく知りたい」という方は是非ご覧ください!
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