脅威のシロアリ「イエシロアリ」その特徴を徹底解説!

COLUMN

シロアリコラム

投稿日 2021.09.28 / 更新日 2023.06.10

シロアリについて

脅威のシロアリ「イエシロアリ」その特徴を徹底解説!

WRITER

田中勇史

WRITER

田中 勇史

(公社)日本しろあり対策協会 防除技術委員

田中勇史

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel

日本の代表種として有名なシロアリは、ヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。現在、シロアリ1番!のコラムには数々のシロアリ情報を掲載していますが、大半の記事はヤマトシロアリのことを指しています。そこでこの記事では日本で見かけるもう1種の代表的なシロアリ、イエシロアリについて解説します。

シロアリ1番!が選ばれる理由

イエシロアリの分布

日本全土に分布しているヤマトシロアリと異なり、イエシロアリの主な生息地は主に暖かいエリア、西日本エリアに絞られます。東日本の生息地はわずかで、神奈川県や千葉県、東京都の海岸線沿いの比較的暖かい場所に生息しています。

イエシロアリの生息域

また、弊社で対応した茨城県結城市でのイエシロアリ被害現場は、イエシロアリ生息地の北限から大きく北に逸れるため貴重なデータとなっています。ただし、それ以降の被害報告例はなく、植栽などに紛れて侵入したコロニーが発見された可能性が考えられます。

茨城県結城市のイエシロアリ被害記事
弊社コーポレートサイトへ

イエシロアリの特徴

冒頭で、日本の代表的なシロアリとしてヤマトシロアリとイエシロアリをご紹介しましたが、実はこの2種は全くの別種に当たります。生物分類学における属が違うからです。とはいえ、イエシロアリはヤマトシロアリと姿がとても似ていることから、よく比較の対象として持ち出されます。どんな特徴の違いがあるのか、実際に見ていきましょう。

イエシロアリとヤマトシロアリの見分け方

イエシロアリとヤマトシロアリの違い

シロアリは社会性昆虫と呼ばれ、1匹1匹が自分の役割を持っています。また、その役割に応じて見た目が変化します。ヤマトシロアリとイエシロアリを見分ける際、最も分かりやすい違いを見せてくれるのが兵蟻です。

兵蟻の特徴は働き蟻と違って頭が大きい硬い大きな鋏状の顎をもっていることです。ヤマトシロアリなのかイエシロアリなのかを瞬時に見分けるにはこの兵蟻の頭の形を見れば一目瞭然。ヤマトシロアリでは頭が長方形をしておりイエシロアリでは卵型をしているためすぐに分かります。

ヤマトシロアリ
イエシロアリ

一方、職蟻の見た目はとても似ています。もし被害現場でシロアリの群れを発見した際、兵蟻を見つけられれば簡単に種類を特定できますが、職蟻しか見つからなかった場合は困難を極めます。形やサイズがほぼ一緒なため、分けるのがとても難しいのです。

一応働き蟻でも歯の形状を比較すれば見分けることはできますが、それを肉眼で行うことはできないので一般の方には現実的ではありません。やはりシロアリの種類の特定においては、まずは兵蟻を見つけることを優先するのがおすすめです。

攻撃的なイエシロアリの兵蟻

イエシロアリの兵蟻を見つけるのはそれほど難しくはありません。イエシロアリの兵蟻は非常に攻撃性が高く、すぐに警戒して出てくる傾向があるからです。イエシロアリの特徴として兵蟻が攻撃に特化していることもあり、兵蟻の攻撃の仕方にもヤマトシロアリとの違いがあります。

イエシロアリの兵蟻

ヤマトシロアリの兵蟻は、硬い頭部とその特徴的な頭の形状から蟻道や巣穴を塞ぐことに役立ちます。そのため、外敵との交戦の際は戦うというよりかは働き蟻などが逃げる時間を作る、防御のための戦闘を得意としています。

一方でイエシロアリの兵蟻は逃げることはせず果敢に外敵に向かってくる戦いをします。その際、使われるのは鋏状の大顎による攻撃は勿論のこと、頭部中央にある額線(がくせん)から出される粘性の高い乳白色の液体による行動封じの技も得意です。このようにシロアリによっても様々な違いがあり、その違いから行動も変わってくるのです。

水を運ぶ能力に長けたイエシロアリ

イエシロアリの話をする際に良く持ち出されるのが水を運ぶ能力です。ヤマトシロアリも水を運ぶ能力は持っていますが、イエシロアリはその能力が非常に高くなっています。

ヤマトシロアリは巣から遠く離れた場所まで水を運ぶことができません。そのため、雨漏りが起きている場合などを除き、建物の1階よりも上で被害が発生することはありません。一方イエシロアリは乾燥した環境下(壁内部や天井裏、小屋裏など)であっても、水分を持ち込み木材を加害することが可能です。その為、ヤマトシロアリに比べて被害が拡大するスピードは早く、より広い範囲に被害をもたらす可能性があります。

イエシロアリの蟻道

土中生活性のシロアリは蟻道(ぎどう)と呼ばれる蟻の道を良く作ります。イエシロアリの水を運ぶ能力の影響は、蟻道を作った時の形状にも現れます。

蟻道

ヤマトシロアリも沢山の蟻道を作りますがいずれも細く華奢な蟻道が目立ちます。一方でイエシロアリでは先程お伝えしました通り、水を運ぶ能力に長けているため水取り専用の「水取り蟻道」なるものまで作成します。

非常に太い蟻道で断面を見てみると中には2本の道ができていることが多いです。この蟻道を使うことで、水を高い位置まで運ぶことができるのです。

イエシロアリの巣の特徴

イエシロアリとヤマトシロアリでは巣の形状も異なります。シロアリの巣は大まかに、3パターンに振り分けることができます。

  • 食害痕跡地をそのまま利用するタイプ
  • 蟻塚を形成するタイプ
  • 地中などに固定の巣を作るタイプ

その中でも、イエシロアリは固定の巣をつくるタイプに含まれます。このグループは食材となる木材を食材としてだけで見ており、巣は自分たちで別の場所に作るのが特徴です。

イエシロアリの被害材

その為、イエシロアリの被害に遭った木材には土がほとんど付いておらず、食害痕だけが残されています。対して木材が巣を兼ねるヤマトシロアリの被害材は土にまみれて汚れています。

分泌物や土を使った巣づくり

その際に使われるのが自身の分泌物や土です。自分の唾液と混ぜ合わせることによって粘土状の素材を作り、それを器用に張り付けながら網目状の層が幾重にも重なり合う巨大な巣(本巣)を作っていきます。そして、これら本巣や分巣と呼ばれる巣は様々な場所に形成されます。

イエシロアリの巣

本来自然の中での巣は主に枯死(立ち枯れ)した大木の根元などに作られ、枯れた樹木の内部にまで巣を構築していきますが、住宅地では違った場所での発見も目立ちます。

本巣と呼ばれる巣の本体は、強固な要塞のように外敵から身を守る防御壁の役割を担っているとはいえ、外敵からの攻撃を受けにくく温度が上がりやすい場所を好んで作られることが多いです。その一例としては在来浴室浴槽下の地中にできていたという報告もあります。

分巣はあちこちに作る

一方で分巣と呼ばれる経由地としての小巣は、建物で言うと床下、壁内部、天井裏から小屋裏に至るまで食害を進めていった先のどんな場所でも作られます。イエシロアリの場合、ヤマトシロアリと違って水を運ぶ力が強いため、巣の位置は低い位置から高い位置まで関係なく形成されてしまうため、一度侵入されてしまうと非常に厄介なシロアリと言えるのです。

巣には100万匹のシロアリがいることも

また、イエシロアリとヤマトシロアリで大きな違いがあるとすれば巣内におけるシロアリの数が挙げられます。皆さんがシロアリ被害に遭遇した際、床下や壁を剥がした時にシロアリを発見する機会はあるかと思います。

イエシロアリ

その時、シロアリが百匹単位もしくは千匹単位で見つかることもあり驚かれるケースも多く見られます。私たちが見ている光景は巣のほんの一部に過ぎないのです。実際にヤマトシロアリでの巣内生息数は大体1~2万匹に及びます。

ところがイエシロアリの場合、巣本体に生息している数はこんなものではなく次元が違います。成熟した巣だと、その数は実に100万匹にまで達することもあります。それだけの数のシロアリが建物に侵入してくることを考えると恐ろしいものです。

イエシロアリの羽アリ

シロアリといえば、5月の頭ごろから始まる「羽アリの大量発生」というイメージが強い人も多いのではないでしょうか。シロアリは種類によってその羽蟻の特徴(群飛時期や体色、大きさなど)に違いが現れます。

イエシロアリもシロアリですので、時期が来ると羽アリを飛ばします。しかしヤマトシロアリとはいくつかの異なる点があります。イエシロアリの羽アリの特徴を見ていきましょう。

羽アリを飛ばす時期

群飛の時期はシロアリによって異なっており、その時期や時刻、発生地域から種の特定もある程度できるほど。最も有名なヤマトシロアリでは春先の4月~5月にかけて、更には日中に飛ぶことまで頭に入れておくと判別しやすくなります。

イエシロアリの場合、群飛の時期は夏場6月~7月の夕方から夜にかけてです。その為、ヤマトシロアリとは容易に判別することができます。

羽アリの体色

羽アリの違い

イエシロアリの羽アリの体色は、ヤマトシロアリと大きく異なります。ヤマトシロアリは体色は黒く胸部に黄色いラインが入っているのが特徴です。一方イエシロアリは茶褐色で黄色いラインなどもありません。こちらも特徴を知っていればまず間違えることはないでしょう。

成熟した羽アリは姿を変える

イエシロアリの社会性

イエシロアリの羽アリのサイズは群飛直後と成熟した後では大きく異なります。群飛直後の羽蟻サイズはヤマトシロアリもイエシロアリもさほど大きな違いはなく、若干イエシロアリの方が大きいくらいです。

ところが、成熟してくるとその大きさに違いが表れてきます。ヤマトシロアリは創設女王の寿命が短く短期の内に副生殖虫へと置換されてしまうため、腹部は卵巣の発達によって少し大きくなるものの、自ら動けなくなるほどではありません。サイズで言うと大体最大でも1㎝ほどでしょうか。副女王の大きさも大体同じくらいです。

一方イエシロアリでは創設女王の寿命も長く、長期に渡って本巣の中で過ごすため、移動する機会も少なくより肥大化していきます。その大きさは、最大で2㎝近くにもなり自ら歩くこともままならないほど腹部が大きくなります。

イエシロアリの駆除

もし人間の建物がイエシロアリの被害に遭った場合、どのように駆除を行えばいいのでしょうか。イエシロアリを駆除するアプローチは、本巣を特定して駆除する方法と、ベイト剤を使って駆除するという2つのアプローチがあります。

被害箇所を特定する

まずは被害箇所を辿ることから始めます。ある程度大きめの被害を見つけたら、その周辺を調べます。壁ならば開口を行います。すると、壁内にまるで石板のように固められた巣を見つけることができます。

小屋裏の調査

天井裏や小屋裏であれば、空間が広いので木部に直接張り付く球体状の巣を見つけることもあります。

その巣は「本拠地」ではない

ただし現地で早々に見つけることができるのは分巣、つまり「本拠地」ではない場合がほとんどです。女王と王を守っている本巣は生息している環境下で最も強固で安全な場所に作られるからです。規模にもよりますが本巣は大抵の場合、浴室下の地中や大木の下(根っこに守られた頑丈な空間)などに作られます。

イエシロアリの場合、本巣から伸びる蟻道の先に分巣と呼ばれる小さな巣を幾つも形成します。そのため、見つかりやすいのは分巣でありこれを本体と勘違いして駆除を完了したとしてしまうと後で痛い目を見ます。

イエシロアリの駆除を行うにあたって注意することは、本巣がどこにあるのかを見極め、的確に本体を処理することにあります。ただし、最初にも触れたようにイエシロアリでは分巣をいくら駆除しても意味はなく、本巣にダメージを与えるような処理をしなければ駆除効果は得られません

本巣の見つけ方

では本巣を見つけるためにはどうしたら良いのでしょうか。最も分かりやすいのは被害の程度が最も大きな場所に目星を付けてその周辺を入念に調べると見つけられることが多いです。

例えば浴室などではタイル壁にドリルで穴を開け、その穴に金属棒を差し込みます。もし巣があればバリバリと巣に刺さる感触が手に伝わってくるのでそこを開口または壊して掘り起こしてみると見つかります。

また建物内には本巣がない場合もあり、いくら探しても本巣らしい痕跡がない場合は建物周辺をよく見てみると良いでしょう。建物の周りに被害の痕跡がある枯れた大木がないかなどは詳しく見ておく必要があります。もしあった場合は同じように幹根本付近にドリルで穴を開け、確認してみると見つかる場合もあります。

ただし、イエシロアリの場合はその行動範囲が半径100m近くに及ぶこともあるため、敷地内にあるとも限りません。つまり、それだけ本巣を見つけるのは難しいということです。

駆除は毒餌で行われることが多い

イエシロアリの駆除ではしばしばベイト剤(毒餌)を用いた駆除方法が用いられます。

まず、建物側は液剤により駆除を施しておき、その後建物周辺にベイト剤を設置することで建物にやってくるイエシロアリが毒餌にヒットし、巣までシロアリが薬剤を運んでくれるという仕組みです。こうすることで時間はかかりますが、巣の位置がたとえ見えなくとも確実に本巣を攻撃することが可能となり、巣を根絶させることができるのです。

さいごに

当記事ではイエシロアリの特徴を解説しました。ヤマトシロアリと異なり生息地域が限られているものの、ヤマトシロアリよりも活動が活発なシロアリです。もしシロアリの被害が疑われるようでしたら、迷わず業者に相談することが大切です。

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