シロアリのフェロモンって?コミュニケーション力の高さの秘密をご紹介!

COLUMN

シロアリコラム

投稿日 2021.04.08 / 更新日 2021.09.13

シロアリ駆除

シロアリのフェロモンって?コミュニケーション力の高さの秘密をご紹介!

イエシロアリの職蟻

WRITER

田中勇史

WRITER

田中 勇史

しろあり防除施工士

田中勇史

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。

こんにちは。シロアリ1番!の田中です。

今回お話ししたいのは昆虫の「フェロモン」についてです。

昆虫にとってフェロモンはまさに「言葉」そのものです。

シロアリを含む、社会性昆虫ではそのフェロモンを巧みに使いこなすことで複雑な動きや「社会性」を生み出しているのです。

このページは「シロアリがどのようなフェロモンを多用しているのか」をご紹介しています。

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なぜシロアリはフェロモンを出すのか

シロアリのフェロモンには

  • 仲間の行動を変える
  • 仲間の体の成長を変える

 
という2つの力があります。

前者を「解発フェロモン」、後者を「起動フェロモン」といいます。

シロアリはこの2種類のフェロモンを上手く使いこなしながら集団生活を送っているのです。

シロアリのフェロモンの種類

では具体的にどのようなフェロモンがあるのでしょうか。

  • 性誘引フェロモン
  • 階級分化制御フェロモンおよび階級分化ホルモン
  • 警報フェロモン
  • 道しるべフェロモン

 
という4つのフェロモンがあります。
詳しく見ていきましょう。

①性誘引フェロモン

「性誘引フェロモン」は雌が雄を引き寄せるためのフェロモンです。

シロアリに限らず多くの昆虫が性誘引フェロモン使います。

性誘引フェロモンがあるから雄は交尾相手の雌を見つけることができるのです。

シロアリはいつどのように性誘引フェロモンを使うのでしょうか。

まずはシロアリの「出会い」の仕組みをご紹介します。


先ほど、「シロアリは集団生活をしている」とお伝えしました。ですが巣内における生息数が増してくると、シロアリは新たな巣を作るためにその一部が羽蟻となって一斉に巣外へと飛び立っていきます。

この事を「群飛」といいます。

巣から飛び立ったシロアリはやがて地面に着地して羽を切り落とし、ペアを見つけます。このつがいのシロアリ達が後の王と女王です。


シロアリのペアは本当に仲良しです。

雄のシロアリは雌のシロアリの後ろに常にくっつき、巣を作る時も、巣を作った後も、方ときも離れることはありません。

この仲の良さの秘密こそ「性誘引フェロモン」です。

雄のシロアリが迷わずに雌のシロアリを見つけられるのも、ずっと一緒に行動できるのも、雌のシロアリが出す性誘引フェロモンのおかげなのです。

ちなみにですが、性誘引フェロモンは昆虫ごとにオリジナルで、これまで1000種類以上が見つかっています。

なので雄のシロアリが

「雌の出すフェロモンを辿って行った先で出会うのが別種の昆虫」

ということは起こりません。

また、性フェロモンは基本的には雌が使うものですが、雄が出しているパターンも存在します。

②階級分化制御フェロモン

シロアリには、

  • 共同で暮らしている
  • 1匹1匹に自分の「役割」がある

 
という特徴があります。

その仕組みを作る上で欠かせないのが「階級分化制御フェロモン」です。


階級分化制御フェロモンを主に使うのは女王アリです。
ですので、「女王物質」と呼ばれることもあります。

では階級分化制御フェロモンにはどんな力があるのでしょうか。

それは「他のシロアリの産卵を抑制させる力」です。


女王の役割を一言で言うと「卵を産むこと」にあります。この女王が出す階級分化制御フェロモンの影響を受けたシロアリは卵を産むための「卵巣」が育たなくなり、産卵できる個体は創設女王や置換された副生殖虫(副女王)のみに制限されます。

ちなみに・・・

もう一つシロアリの階級分化に関係している物質も存在しています。

それが「階級分化制御ホルモン」です。

シロアリのようなそれぞれの個体に「役割」がある社会性昆虫では、その役割に応じて見た目も変化します。

ヤマトシロアリの兵蟻
例えばシロアリの中でも、外敵から仲間を守る「兵蟻」は他のシロアリよりアゴが大きく発達しており、将来巣外へと飛び立つ予定の「ニンフ」の背中には翅鞘と呼ばれる羽の収納スペースが付いています。

こういった形態の違いは階級分化制御ホルモンによって引き起こされます。

シロアリの体内には制御ホルモン(幼若ホルモンなど)が存在しており、この濃度の変化によって分化が生じ、形態の違いに大きく関係していると言われています。

このように形態の変化や役割の決定は、フェロモンやホルモンの働きが複雑に絡み合うことで成り立っているのです。

③警報フェロモン

警報フェロモンは仲間に危険が迫っている事を知らせるフェロモンです。警報フェロモンの使い道はシロアリにより異なります。

例えば、ヤマトシロアリは警報フェロモンをほぼ「逃げるため」に使います。


自分の体や蟻道、巣などに対し何らかの刺激が加わった時、危険が迫っていることを他の仲間に知らせるのです。

まさに「掛け声」のようなものですね。

イエシロアリの兵蟻
一方、気性の荒いイエシロアリでは逆に攻撃態勢を整えるために使われ、警報フェロモンが発せられた箇所には兵蟻が集まることで外敵に備えます。

この反応は海外シロアリほど強く現れることがあります。


例えば、こちらは海外に住むスミオオキノコシロアリというシロアリで、兵蟻の中でも大型の個体、小型の個体に分かれ、更に戦闘に特化した特徴が見られます。

④道しるべフェロモン


道しるべフェロモンはシロアリだけでなく蟻でも有名なフェロモンです。

目印としてフェロモンを道中に残すことにより、餌の在処や餌までの距離など様々な情報をシロアリに与えています。

これによりシロアリは迷うことなく餌場と巣を行き来可能となるのです。

またシロアリは餌を探す際、巣から放射状に拡散しながら探索しますが、一度餌を見つけるとその道には道しるべフェロモンが残され、やがて全てのシロアリが一直線にその餌目掛けて往復するようになります。

 

まとめ

今回はシロアリのフェロモンについてまとめてきました。

シロアリは言葉こそ発しませんがそれに近いことを、フェロモンを通じて行いながら仲間とコミュニケーションを取っているのです。
 
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