シロアリ駆除をDIYでやりたい人向け!現役業者が方法を徹底解説!|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2018.08.10 / 更新日 2021.01.13
シロアリ駆除
シロアリ駆除をDIYでやりたい人向け!現役業者が方法を徹底解説!

WRITER

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木村 健人
しろあり防除施工士

シロアリ・木材腐朽菌に対する木材保存・薬剤性能評価について在学中に研究。2009年新卒でテオリアハウスクリニックに入社。数千件のシロアリ調査・駆除に従事。現在はWEBマーケティングを担当。
このような人のために現役シロアリ駆除業者である私がシロアリ駆除をDIYで行う方法についてご紹介していきます。このページを読んでいただければ
- シロアリ駆除のDIYに必要な薬剤や道具
- シロアリ駆除をDIYで行うための手順
- シロアリ駆除をDIYで行う際の注意点
これらの知識を身につけることができます。ちなみにこのページはシロアリ駆除を「ベイト工法」という方法で行うことを想定しています。
目次
シロアリ駆除のDIYに「ベイト工法」をおすすめする理由
DIYでのシロアリ駆除は「ベイト工法」で行うのがおすすめです。
ベイト工法とは家の外周や被害に遭っている木材の近くにシロアリの毒エサを入れた「ステーション」と呼ばれる容器を置き、その毒エサをシロアリに自分の巣に持ち帰ってもらい巣全体のシロアリ駆除を行う工法です。
シロアリ駆除のDIYをベイト工法で行うと以下のメリットがあります。
- 床下で行うシロアリ駆除に比べて体力を使わない
- 床下に潜るための服やマスクを用意する必要がない
- 液剤でのシロアリ駆除に比べ必要な工具が少ない
- 使う薬剤の量が少なくて済むので手荒れなどの心配がない
ベイト工法とそれ以外の工法との大きな違いは「床下で作業をする必要があるかどうか」です。
ほとんどの人にとって床下で慣れない作業をするのは大変だと思いますし、用意しなければいけない道具もベイト工法の方が圧倒的に少ないので、シロアリ駆除をDIYで行うのであれば敷居が低いベイト工法がオススメです。
【補足】シロアリ駆除は「そこにいる」シロアリだけでは意味がない
もしかすると「液剤タイプの薬剤の方がパッと駆除できるんじゃないの?」と思われた方もいるかも知れません。
確かに目の前のシロアリを駆除するだけなら、わざわざ建物の外に毒エサをおいてそれを食べてもらうのを待つ・・・なんていう回りくどいことをする必要はありません。
しかし、地面の下には無数のシロアリがまだ残っていることを忘れてはいけません。
液剤施工は「バリア工法」とも呼ばれ、床下の表面に薬剤のバリアを作ってシロアリを建物の内側に侵入できなくすることに大きな意味があります。逆に言えば地上に出てきたシロアリに薬剤を散布しただけでは、建物全体は依然シロアリのリスクにさらされた状態のままです。液剤で施工をするときは、床下全体に薬剤を散布することを前提条件にする必要があるのです。
シロアリ駆除をDIYで行うために必要な道具
シロアリ駆除をDIYで行うためには大きく以下の道具が必要です。まずはこれらを用意しましょう。
- 汚れてもいい作業着
- 軍手
- スコップ(掘削器)
- 図面
基本的には外の作業になるので土の汚れがついても大丈夫な服装や手を守るための軍手を用意しましょう。設置するときは土をある程度掘り起こす事になりますので、スコップも用意しましょう。

縦に長いタイプのベイト剤を埋める時はハンディタイプの掘削器も用意することをおすすめします。
ベイト工法はこのようなステーションを家の周りにいくつも設置することになります。土が風化してどこにステーションを埋めたか分からなくならないように、ステーションの位置を記録するための図面も用意しましょう。
シロアリ駆除をDIYで行うための手順
準備が整ったら早速シロアリ駆除の準備を行っていきます。シロアリ駆除は大まかに以下の流れで行います。
・ベイト剤を買う前に予め建物の周りを確認する
・建物の図面を用意し、ステーションを置いた方がいい場所を記録する
-作業編-
・スコップや穴掘り器で穴を開け、ステーションを置いていく
-アフター編-
・決められた期間内に決められた回数だけそれぞれのステーションをチェックする
・カビが生えていたりエサが無くなっているステーションは適時取り換える
準備:建物の周りを確認する
ベイト剤はシロアリの被害に遭っている場所やシロアリの被害を受けやすい水回りを中心に、建物の周りに等し間隔で満遍なく置いていくのが理想です。
必要なベイト剤の数は一般的な家だと15~20個くらいになるのではないかと思います。あらかじめどのあたりにベイト剤を置けばいいか検討をつけましょう。
設置したベイト剤は「あれ?どこに置いたっけ?」となってしまいがちです。用意した図面に事前にベイト剤を置く場所を書き込んで記録しましょう。
作業:スコップや穴掘り器を使ってステーションを置くための穴を開ける
ベイト剤を置くための穴をスコップで掘っておきます。ステーションが縦に長くて深く掘る必要がある時はハンディタイプの掘削器を使いましょう。
ステーションは基本的には家の周り全体に3m間隔ほど、基礎ぎわから20~30cmほど離した場所に置いていきます。特に
- 風呂場、トイレ、キッチンなどの水回り
- 玄関周辺
- 羽アリが出てきた場所の近く
などはすこし間隔を狭めてベイト剤を置いてもいいでしょう。
据え置きもできるタイプのベイト剤ならば家の中で被害に遭っている部分に養生テープなどでくっつけて使うこともおすすめです。
アフター:一定のタイミングでステーションのメンテナンスを行う
ベイト剤は設置して終わりではなく、置いた後にシロアリがうまくステーション内の毒エサを食べているかを確かめる必要があります。準備の時に図面に書き込んだ情報を元に、それぞれのステーションの中の様子を確認していきます。
もしシロアリが毒エサを食べているようであればそっと元に戻してあげましょう。また、無闇に何度も様子をみようとすると、せっかく寄ってきたシロアリが刺激されてそこから逃げてしまうかもしれません。中の点検は製品ごとに決められた回数のみ行うようにしましょう。
ベイト剤には、ステーションと毒エサが一体になっているパターンのものと、随時ステーションの中に毒エサを補充していくパターンのものがあります。もし内側の毒エサがかなり減っているようであれば毒エサを補充してあげましょう。
ベイト工法でシロアリ駆除のDIYをする際の注意点
以下の事には注意しましょう。
- ステーションは家の周りにバランスよく置く
- 液剤や殺虫スプレーなどの薬剤を一緒に使わない
- 効果が出るまでは時間がかかるので粘り強く待つ
それぞれ詳しくご紹介していきます。
ステーションは家の周りにバランスよく置く
ベイト剤のステーションは建物の周り全体にまんべんなく置くことをおすすめします。シロアリ駆除が成功する「確率」を上げるためです。
ベイト工法においてシロアリ駆除できるかどうかは「確率」という考え方が大切です。
ベイト剤はシロアリに見つけてもらい、毒エサを巣に持ち帰ってもらう事で効果を発揮します。いくらそこにシロアリがいることは間違いなかったとしても、上手く毒エサを見つけてくれるかどうかは分かりません。シロアリはもしかすると今被害に遭っている部材とは別の部材を狙っているかもしれません。
ベイト剤は1か所でも上手くシロアリに見つけてもらえれば、それを巣に持って帰ってもらうことで巣のシロアリを全滅させることができます。
そのためには「数を打てば当たる」という考え方がとても大切なのです。
液剤や殺虫スプレーなど、別の薬剤を一緒に使わない
ベイト剤でのシロアリ駆除は効果が出始めるまでに時間がかかります。製品にもよりますが、おおよそ「3か月~1年ほど」と言われています。それまでの間にもしかすると別の場所で被害が出ていることが分かったり、羽アリが出てくることがあるかもしれません。
しかしだからといってその場のシロアリを駆除しようとして液状の薬剤や殺虫スプレーを使わないように注意しましょう。ベイト剤と液剤やスプレーでは、シロアリに対する効き目の方向性が全く異なります。
液剤や殺虫スプレーは「ピレスロイド」という成分を使うものが大半ですが、ピレスロイドはシロアリをその場で殺したり、「忌避性」というシロアリがその場から逃げ出してしまう性質を持っています。下手に使用すると
- ベイト剤にシロアリが寄り付かなくなってしまう
- 毒エサを巣に持ち運ぶシロアリがいなくなってしまう
- 別の場所に被害が広がる可能性がある
などの良くないことが起こるかもしれませんので注意しましょう。対策としては、先ほどもご紹介したが室内でも使う事のできるベイト剤を被害部の近くに置くのがおすすめです。
効果が出るまでは時間がかかるので粘り強く待つ
先ほどもご紹介しましたが、ベイト剤は液剤と違って直接シロアリを駆除しない分、どうしてもシロアリがいなくなるまでに時間がかかります。自分の家でシロアリがずっとウヨウヨしているという状況は心理的に落ち着かないかもしれません。しかし、ベイト剤でのシロアリ駆除で大切なのは効果が出るまで続けることです。長丁場になる可能性もありますので、粘り強くシロアリがいなくなるのを待ちましょう。
シロアリ駆除をDIYで行うのが難しい家もある
次のような家の場合はベイト工法でのシロアリ駆除が難しい場合があります。
- 家の周りがコンクリートやアスファルト
- 隣家との間隔が狭すぎる
ベイト剤は土の下のシロアリをステーションまでおびき寄せるというのが基本的な考え方です。家の周りがコンクリートやアスファルトになっているとそもそもベイト剤を置くことができません。
ベイト剤の大きさはおおよそこのくらいです。こちらは業務用のベイト剤とステーションになりますが、これを埋めることができるスペースを家の周り一周に確保できない家では、ベイト工法は難しいと思います。
家の一部分だけが土になってるのであればそこに置けなくはないですがやはり本来の効果をうまく発揮できなくなってしまう可能性があります。
電動のコンクリートの掘削機もありますが、DIYだとあまり現実的ではありません。
どうしてもDIYで行うのであればベイト剤でシロアリ駆除を行う事を諦めて液剤によるシロアリ駆除に作戦を切り替えることをおすすめします。
しかし冒頭でご紹介したように液剤で床下に薬剤を散布するには様々な道具や機材をそろえる必要があり、DIYでは少し敷居が高くなっています。
よく「シロアリ駆除のDIYを液剤で行うのであればこんなポンプを用意しよう」という情報を見かけますが、公益社団法人 日本しろあり対策協会のマニュアルでは
としています。手押しのハンドスプレイヤーでは現実的ではない量を散布する必要があることが分かるのではないかと思います。
もし、「それでも液剤処理のシロアリ駆除をDIYでできるかどうかもう少し詳しく知りたい!」という方は、シロアリ1番!で行っているシロアリ駆除の方法を下記のページで公開していますので、参考にしてみてください。
DIYでのシロアリ駆除には将来の計画も必要
もしDIYでのシロアリ駆除を成功させることができれば「ついにシロアリがいなくなった!これでシロアリ駆除は完了だ!」と思うのではないかと思います。
しかしベイト工法は継続的な管理が重要です。
確かにベイト工法を続けてシロアリがいなくなったということは、家の下にある大元のコロニー全体のシロアリ駆除に成功したことになります。しかしシロアリは土の下には無数にいる生き物です。そもそもシロアリが発生したということは「建物がシロアリに狙われやすくなる要因が何かある」ということが考えられます。
例えば、在来浴室はしろありの被害に遭いやすい場所ですが、床下を調べてみると内側から水がしみ出して土台が腐朽していた、というケースは珍しくありません(木材は腐朽するとシロアリを引き寄せる性質を持っています)。
床下がこういった状況であればたとえ一時はシロアリ駆除できたとしても、ベイト剤の管理をやめた瞬間、別のシロアリに狙われてしまう可能性が十分考えられます。継続してステーションのメンテナンスを行うことが大切なのです。
一度シロアリ駆除の専門家に相談してからDIYを行うか決めよう
「結局1回は床下に潜った方がいいのか…」と思った方にご提案したいのが、シロアリ1番!の無料点検です。
シロアリ1番!の無料点検では
・床下調査(床下点検口や床下収納庫から床下へ入ります。)
・建物外周調査、玄関周辺の目視確認
・撮影した写真付き報告書の提出
といった調査を経験豊富なスタッフが1時間~1時間30分程度で行います。調査・お見積段階では費用はかかりません。
また、ベイト工法や液剤によるシロアリ駆除についてもその場でご質問していただければ点検員がお答えしますので、DIYと比較した場合にどちらのシロアリ駆除の方が自分に合っているのかもご検討いただけるのではないかと思います。
もしシロアリ1番!に点検を希望される場合は下記のお問い合わせフォームから申し込み下さい。また「シロアリ駆除に関してココをもっと詳しく知りたい」というご相談も受け付けていますのでいつでもお気軽にご連絡ください。皆様からのご連絡をお待ちしています!