家の中に木くずが・・・これってシロアリ被害?|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2021.01.25 / 更新日 2021.03.07
乾材シロアリ
家の中に木くずが・・・これってシロアリ被害?

WRITER

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田中 勇史
しろあり防除施工士

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。
このような疑問にお答えします。
「家の中に木くずが落ちている」というご相談はシロアリ1番!にも毎年寄せられますが、実際の原因はシロアリである場合もあればそうでない場合もあります。
そこでこのページでは、家の中で目にした見知らぬ木くずやこなについて
- 考えられる原因と見分け方
- それぞれの取るべき対処法
を順番にご紹介していきます。
目次
家の中の木くずはシロアリ以外の害虫も考えられる
「家の中に木くず?」と思った時は、まずは形や特徴をしっかり観察する事が大切です。
- 壁・木材からの「つぶ状」のもの
- 壁・木材からの「こな状」のもの
- 壁・巾木からの「明らかな土や木くず」
- 壁の隙間からの「白いこな状」のもの
それぞれの場合において考えられるケースをご紹介します。
壁・木材からの「粒状」のものが落ちる

この現象を発見した場合には特に注意が必要です。なぜなら外来種のシロアリ「カンザイシロアリ」の被害かもしれないからです。
カンザイシロアリは駆除が難しいとても厄介なシロアリですが、
- 窓枠や柱にガビョウの針のような穴を開ける
- 穴の中から砂粒状の糞を外に出す
といった特徴があります。
シロアリ1番!でも対応を行っていますので、被害を広げないためにも見かけた時は早めにご連絡ください。
ちなみに、アメリカカンザイシロアリと同じように木に穴を開ける虫には
「ヒラタキクイムシ」
「シンクイムシ」
がいます。
穴の大きさ | 木屑(排出物)の状態 | |
---|---|---|
カンザイシロアリ | 画鋲の穴くらい(1~2mmほど) | 粒(つぶ)状 |
ヒラタキクイムシ | 画鋲の穴くらい(1~2mmほど) | 粉(こな)状 |
シンクイムシ | 2.5mm~ | 粉(こな)状 |
シンクイムシは「穴の大きさ」が2.5mmほどとガビョウほどの大きさのカンザイシロアリの穴よりも一回り大きいこと、「ヒラタキクイムシ」は穴からの排出物がつぶ状ではなくこな状であることから見分ける事ができます。
壁・木材から「粉状」のものが落ちる
住宅においては、ほぼ確実に「ヒラタキクイムシ」による被害です。
(厳密にはアフリカヒラタキクイムシやケヤキヒラタキクイムシなどもいますが、生態にそれほど差がないため、同じとして考えても問題ありません)
こな状のものの正体はヒラタキクイムシが作った「木材の削りカス」です。
ヒラタキクイムシは幼虫の時は木の中に潜んでおり、成虫になったら木を削りながら外に飛び出していくのです。
ですので、このような状況に気づいた頃にはヒラタキクイムシは既に外に飛び去っていることを意味します。
対策も基本的には「幼虫が潜んでいる穴を見つけた時」しか行えません。
とはいえ、ヒラタキクイムシは構造部分に使われる「針葉樹」は食べないので、カンザイシロアリのように住宅の強度に影響を与えることはありません。
壁などの隙間から明らかに土や木屑が溢れてきている
こちらの症状が見られた場合に多いのが「クロアリ」による不要物の排出です。
クロアリの中には、土の中だけでなく家の壁の中などにも巣を広げる種類がおり、巣を作ると決めた場所からゴミを外に出そうとする習性があります。
溢れてきた木くずをよく見ると、土や餌のカス(昆虫の死骸や欠片)が多くまざっているため、「これはクロアリの仕業だ」簡単に見分ける事ができます。
ちなみに、土を排出するのはクロアリだけでなく「在来種のシロアリ」も行いますが、こちらは純粋に「固められた土」なので木くずや虫の死骸などは見当たりません。
壁の隙間から白い粉状の物が出てくる
「何かの虫かな?」と思っても実際には虫ではないケースもあります。
よくご相談を受けるのが「壁際の白い粉」です。
「虫による被害ではないか」と思われがちですが、実際は壁内の石膏ボードが地震などの振動で擦れた時の粉が巾木の隙間から落ちてくる事が原因です。
あくまでも「擦れ」が原因ですので経年で擦れる箇所がなくなると自然と粉は出て来なくなります。
ポイントは「白い粉だけが出てくる」という点です。
もし虫による被害であれば「木質のもの」が混ざっていることがほとんどで、白い粉のみが排出されることはほとんど考えられません。
原因がシロアリかそうでないかで木くずの対処法は大きく異なる
まずは「そもそも対処する必要があるか」を考えましょう。
原因となる虫が「シロアリ以外」だった時、建物への影響はごくわずかです。よほど頻繁に出てこない限り、出てきた排出物を掃除すれば解決してしまいます。
とはいえ、中には事態が深刻化してしまうケースも存在しますのでその場合は適切な対処が必要となります。
また、原因がシロアリであった場合には対処法が他の害虫とは異なるので注意が必要です。
今回ご紹介してきた害虫の被害が悪化した際の対策をみてみましょう。
ヒラタキクイムシ
ヒラタキクイムシによる被害は症状が悪化すれば室内に大量に穴が開いて木くずの排出もとどまる気配がない、となってしまう可能性があります。
殺虫剤を穴の一つ一つに注入していく方法もとれなくはないですが、正直あまり効果的ではなく、被害が見つかったらその都度業者を呼んで、を繰り返すことになってしまいます。
おすすめは「部材の交換」です。その際、ヒラタキクイムシが食べない「針葉樹材」にするとより効果的です。いずれにしても、専門業者にお願いすることは視野に入れましょう。
クロアリ
クロアリがあまりにも大量に出てくるようなら、「ベイト剤(毒餌)の設置」がおすすめです。ベイト剤は市販品でも成分にいくつかの種類があり、クロアリによって好みが分かれます。
いくつかの種類を揃えてセットし、最も食いつきの良いベイト剤を見つけることがより早く効果を出すコツです。
シロアリ
シロアリが原因であった場合は、もし症状を見つけても慌てて薬剤を使ってはいけません。なぜなら、被害をさらに広げてしまう可能性があるからです。
目の前にいるシロアリを駆除しようと殺虫剤を散布すると、シロアリは危機感を覚えて逃げてしまいます。
逃げたシロアリがもう戻ってこなければ良いのですが、実際にシロアリが逃げる先は建物の内部、薬剤が届かなかった別の木材です。
「カンザイシロアリ」の場合はより厄介で、小さなコロニー(巣)をいくつも分散して作ることから一般の方ではそれらを的確に処理するのはほぼ不可能です。
先ほどもご紹介しましたが、もしシロアリが原因だと感じた場合に大切なのは「早い段階でご相談いただく事」です。
また、その箇所の写真や状況を記録として残し
- どこから糞が出てきたのか
- どの範囲で被害が見つかったのか
がわかるようにしておけば、より早い対応が可能となります。
まとめ
今回は家の中で木くずやそれに似たものを発見したときの見分け方や対処方法についてご紹介してきました。
やはり注意をすべきは「シロアリ」です。なぜなら他の害虫と違い、建物の強度に影響を及ぼしてしまうからです。
まずは状況を正しく把握することから調べましょう。
もし、「シロアリについてもっと詳しく知りたい!」と思っていただけたようでしたら、こちらのページでも詳しく紹介していますのでぜひご覧ください!
www.shiroari-ichiban.com/contents/column/shiroari/
シロアリ1番!では無料のシロアリ調査を実施しています。無料調査では不安な場所に加えて、床下に進入しての調査や所見を交えた報告書の作成も行っています。
万が一判断を誤ってしまうと、かえって被害を広げて余計な出費となってしまうかもしれません。
もし、「これってシロアリなんじゃ・・・?」と不安に思った時は、是非一度お気軽にご相談ください!