シロアリ駆除は確定申告で雑損控除の対象になる?対象となる費用・対象外の費用を解説|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2026.06.29
シロアリ駆除
シロアリ駆除は確定申告で雑損控除の対象になる?対象となる費用・対象外の費用を解説
WRITER
大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。大学の海外調査にも協力。しろあり防除施工士。白蟻専科研究室長。
YouTube:シロアリ駆除Channel
シロアリ被害は、駆除だけで済むとは限りません。被害の状況によっては木材の修繕も必要となり、想定以上の費用がかかることがあります。
しかし、シロアリ被害による駆除費用や修繕費用は、一定の条件を満たすことで「雑損控除」の対象となり、所得税などの税負担が軽減される場合があります。
一方で、シロアリ予防を目的とした薬剤処理や定期的な防除工事などは、原則として雑損控除の対象にはなりません。そのため、「どの費用が対象になるの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、国税庁の見解をもとに、シロアリ被害で雑損控除の対象となる費用・対象外となる費用の違いや、雑損控除の計算方法や減税の具体例、確定申告時のポイントについて分かりやすく解説します。
目次
シロアリ被害による駆除費用は雑損控除の対象になる
シロアリ被害による駆除費用や修繕費用は、一定の条件を満たすことで雑損控除の対象となる場合があります。これは、国税庁がシロアリ被害を「害虫その他の生物による異常な災害」として取り扱っているためです。ただし、すべてのシロアリ対策費用が対象となるわけではありません。
また、「補助金の対象になるのか?」というご質問も同様にいただきますが、現時点ではシロアリ駆除が対象の補助金は存在しません。そこで、まずは雑損控除の概要と、シロアリ被害が対象となる理由について確認していきましょう。
雑損控除とは?
雑損控除とは、災害や盗難、横領などによって生活に通常必要な資産に損害を受けた場合に、一定の条件を満たすことで所得から一定額を差し引くことができる所得控除の制度です。
対象となる資産には、自宅や家財など、日常生活に必要なものが含まれます。雑損控除を受けることで課税所得が減り、結果として所得税などの税負担が軽減される場合があります。
シロアリ被害が雑損控除の対象となる理由
シロアリによる被害は、国税庁が公表している質疑応答事例において、「害虫その他の生物による異常な災害」に該当するとされています。そのため、シロアリ被害を受けた住宅の駆除費用や修繕費用は、一定の条件を満たすことで雑損控除の対象となる場合があります。
シロアリによる被害は、所得税法施行令第9条《災害の範囲》に規定する「害虫……その他の生物による異常な災害」に該当し、修繕に要した費用及びそのシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象となります。
引用:国税庁|質疑応答事例-シロアリの駆除費用
一方で、被害が発生する前の予防施工や定期的な防除工事などは雑損控除の対象外です。これは、被害を回復するための支出ではなく、将来の被害を防ぐための費用と考えられるためです。
雑損控除の対象となる費用・ならない費用
対象となる費用
雑損控除の対象となる主な費用は、次のとおりです。
| 費用 | 対象 |
|---|---|
| シロアリ駆除費 | ◯ |
| 被害箇所の修繕費 | ◯ |
| 被害拡大を防ぐための応急措置 | ◯ |
国税庁では、シロアリ被害によって生じた損害を回復するための支出や、被害の拡大を防ぐために必要な支出は、雑損控除の対象となるとしています。
例えば、シロアリを駆除するための施工費用や、被害によって傷んだ土台・柱・床材などを修繕する費用は、被害を復旧するために必要な支出であることから、雑損控除の対象となる場合があります。
また、被害がこれ以上広がることを防ぐために緊急で行った応急措置についても、災害関連支出として認められる場合があります。
対象とならない費用
シロアリ被害に関連する費用であっても、すべてが雑損控除の対象になるわけではありません。特に注意したいのが、シロアリ予防を目的とした費用です。
雑損控除の対象外となる主な費用は、次のとおりです。
| 費用 | 対象 |
|---|---|
| シロアリ予防工事 | ✕ |
| 駆除と同時に行う予防工事 | ✕ |
| 5年ごとの定期予防 | ✕ |
国税庁では、シロアリの駆除費用や被害箇所の修繕費用は雑損控除の対象になる一方で、予防のために支出した費用は対象外としています。
シロアリ予防工事や5年ごとの定期予防は、すでに発生した被害を回復するための支出ではなく、将来の被害を防ぐための支出です。そのため、雑損控除の対象にはなりません。
また、シロアリ駆除と同時に予防工事を行った場合でも、予防を目的とした部分の費用は対象外となります。駆除と予防をまとめて依頼した場合は、それぞれの費用が分かるように見積書や請求書の内訳を確認しておくことが大切です。
「駆除」と「予防」の違いに注意
雑損控除で特に誤解されやすいのが、駆除と予防の違いです。駆除は、すでに発生しているシロアリ被害に対してシロアリを取り除き、被害の拡大を防ぐために行う工事です。一方で予防は、今後シロアリ被害が発生しないように、あらかじめ薬剤処理などを行う工事を指します。
ただし、実際のシロアリ駆除工事では、被害が発生している箇所だけでなく、建物全体を処理するのが一般的です。そのため、見積書には「シロアリ駆除工事」や「シロアリ防除工事」として一式で記載されることが多く、駆除と予防の費用が分けて記載されていないケースがほとんどです。
そのため、雑損控除を利用する予定がある場合は、事前に施工会社へ相談することをおすすめします。工事内容によっては、被害箇所と予防箇所を区分するなど、申告の参考となる資料を用意できる場合があります。
控除額はどのように決まる?
雑損控除額は、支払った費用がそのまま控除されるわけではありません。損害額や総所得金額、保険金などで補てんされた金額などをもとに計算されます。
国税庁では、雑損控除額は次の2つの計算方法のうち、金額が大きい方を適用するとしています。
② 災害関連支出 – 5万円
シロアリ駆除費や修繕費は災害関連支出に該当する可能性があるため、②の計算方法が適用されるケースがあります。なお、実際に適用される計算方法や控除額は、被害の状況や所得金額、保険金の受取状況などによって異なるため、個々のケースに応じて確認が必要です。
雑損控除額の計算方法
先ほどの計算方法のうち、②の方法を例に計算してみます。
修繕費:110,000円
(災害関連支出の合計:200,000円)
雑損控除額:200,000円 – 50,000円 = 150,000円
この計算の場合、災害関連支出の合計は駆除費と修繕費を合わせて20万円です。ここから5万円を引くと、15万円が雑損控除額となります。
今回ご紹介した計算例は、あくまで一例です。実際の雑損控除額は、総所得金額・シロアリ被害による損害額・保険金などで補てんされた金額・工事内容などによって異なります。また、シロアリ被害の状況によって適用される計算方法も変わる場合があります。
ご自身が雑損控除の対象となるかや控除額については、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用するほか、不明な点は所轄の税務署または税理士へ相談することをおすすめします。
雑損控除を受けるために準備しておきたいもの
雑損控除を受けるには、確定申告の際に必要な書類を準備しておくことが大切です。また、税務署から工事内容などについて確認を求められる場合に備え、被害状況が分かる資料も保管しておくと安心です。
申告時に必要な書類
雑損控除を申告する際には、次のような書類を準備しましょう。
- 確定申告書
- シロアリ駆除工事や修繕工事の領収書
- 修繕費など工事内容が分かる明細書
- 保険金などで補てんを受けた場合は、その金額が分かる書類
なお、必要書類は申告内容や状況によって異なる場合があります。不明な点がある場合は、事前に税務署へ確認すると安心です。
保管しておくと安心なもの
必須ではありませんが、次のような資料も保管しておくことをおすすめします。
- シロアリ被害の写真
- シロアリ調査報告書
- 工事報告書
- 見積書
これらの資料があると、被害状況や工事内容を説明しやすくなります。特に、駆除や修繕の内容が分かる資料は、工事内容を確認する際の参考資料として役立つ場合があります。
雑損控除を利用する際の注意点
雑損控除を利用する際は、対象となる費用だけでなく、制度の適用条件についても確認しておきましょう。ここでは、特に知っておきたい3つの注意点をご紹介します。
- ① 対象は生活に通常必要な住宅・家財
- 雑損控除の対象となるのは、生活に通常必要な住宅や家財などの資産です。そのため、自宅のシロアリ被害による駆除費や修繕費は対象となる可能性があります。
一方で、事業用の建物や賃貸経営を目的とした住宅、別荘などは、対象とならない場合があります。 - ② 保険金を受け取った場合は控除額に影響する
- シロアリ被害に対して保険金などの補てんを受けた場合は、その金額を考慮して雑損控除額を計算します。そのため、駆除費や修繕費を支払った場合でも、保険金の受取額によっては控除額が変わることがあります。
- ③ 最終的な判断は税務署・税理士へ相談する
- 雑損控除の適用可否や控除額は、工事内容や所得金額、保険金の有無などによって異なります。この記事では一般的な内容をご紹介していますが、実際に確定申告を行う際は、所轄の税務署や税理士へ確認することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
-
シロアリ予防だけでも雑損控除になりますか?
-
いいえ。シロアリ予防工事や定期的な防除工事は、将来の被害を防ぐことを目的とした支出のため、雑損控除の対象にはなりません。雑損控除の対象となるのは、シロアリ被害の駆除や修繕など、被害を回復するために必要な費用です。
-
駆除と予防を同時に行った場合は?
-
シロアリ駆除費用や被害箇所の修繕費は、雑損控除の対象となる可能性があります。一方で、同時に実施した予防工事については対象外です。工事内容が分かる見積書や請求書を保管しておくと、申告時の確認がしやすくなります。
-
サラリーマンでも雑損控除を受けられますか?
-
はい。給与所得者(会社員)の方でも、雑損控除の適用を受けることができます。ただし、年末調整では手続きできないため、雑損控除を受けるには確定申告が必要です。
-
シロアリ被害に気付いてから時間が経ってしまいました。雑損控除は受けられますか?
-
国税庁では、「被害を放置していた場合は対象外」といった基準は示していません。ただし、工事内容や個別の事情によって判断が異なる場合もあるため、申告前に税務署や税理士へ相談することをおすすめします。
-
見積書に「シロアリ防除工事」としか書かれていない場合でも雑損控除は受けられますか?
-
一般的なシロアリ工事では、「シロアリ防除工事」などの名称で一式見積もりとなるケースが少なくありません。雑損控除を利用する予定がある場合は、工事内容が分かる資料を用意できるか、施工会社へ相談してみましょう。
まとめ
シロアリ被害による駆除費用や修繕費用は、一定の条件を満たすことで雑損控除の対象となる場合があります。一方で、シロアリ予防工事や定期的な防除工事など、将来の被害を防ぐことを目的とした費用は対象外です。
雑損控除を受ける際は、領収書や見積書、工事報告書などの資料を保管しておくと、申告時の確認に役立ちます。また、工事内容によっては駆除費用と予防費用の取り扱いが異なるため、雑損控除を利用する予定がある場合は、事前に施工会社へ相談しておくと安心です。
なお、雑損控除の適用可否や控除額は、被害の状況や工事内容、所得金額などによって異なります。この記事は国税庁の公表内容をもとに一般的な内容をご紹介していますので、実際に確定申告を行う際は、所轄の税務署や税理士へ確認することをおすすめします。


