シロアリには「好きな木」がある?安全な木材、注意すべき木材とは|シロアリ1番!
COLUMN
シロアリコラム
投稿日 2021.01.30
シロアリ駆除住まいの知識
シロアリには「好きな木」がある?安全な木材、注意すべき木材とは

WRITER

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田中 勇史
しろあり防除施工士

大学で昆虫類、特にニホンミツバチ・スズメバチに関する研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。シロアリにとどまらずハチやアリ、害虫全般の駆除・調査に従事。
「シロアリに「好きな木」は存在しますか?安全な木材と注意すべき木材について知りたいです。」
このような疑問にお答えします。
シロアリが食べられない木材はありません。どんな木材もシロアリは天敵です。
しかし実は、シロアリにも「好み」があることをご存じでしょうか。
このページを読んでいただくと
- シロアリが好きな木
- シロアリが嫌いな木
- 木の「種類」以外の要素
- 家の木を食べられないようにする方法
これらについて知る事ができます。
シロアリが好きな木の共通点
シロアリが好きなのは「柔らかい木」です。なぜでしょうか。それは「食べやすいから」です。
シロアリも生き物なので餌となる木材も「食べやすいもの」を優先します。逆に食べにくい「硬くて目の詰まった木質」はあまり好みません。
シロアリが好きな柔らかい木の代表格は
- アカマツ、クロマツなどのマツ材
- モミ材
- スプルース材
- ホワイトウッド
などです。もしこれらの木材が建物の構造体として使われているならば要注意です。
シロアリが嫌いな木
では、シロアリが好まない木材とはどういったものなのでしょうか。先ほどご紹介した「硬さ」以外にもいくつかの要素があります。
まずは「香り」です。
シロアリが嫌う香りの正体は「テルペン類」と呼ばれる揮発性の精油成分の1種です。
テルペン類のような精油成分は「フィトンチッド」とも呼ばれ、1つの樹種に大抵数十種類は含まれています。この組み合わさり方で「樹の香り」は決まります。
ヒノキやヒバといった「良い香り」で有名な樹種には多くのテルペン類が含まれています。「森林浴」は、これらの木が出す揮発したテルペン類を浴びているんですね。
さて、このテルペン類に「防腐・防蟻効果」があることは古くから知られており、テルペン類を多く含む樹種は建築材料として広く用いられてきました。
樹種を具体的に挙げると
- ヒノキ
- ヒバ
- スギ
- ローズウッド
などです。


ヒバには「ヒノキチオール」というテルペン類が多く含まれています。名前からしてヒノキに多く含まれていそうですが、実際は日本のヒノキにはほとんど含まれていないんですね。
その代わりヒノキには、ヒノキオール、α-カジノール、ピネンなどのテルペン類が多く含まれています。
スギ材にはδ-カジネンというテルペン類が多く、これが抗菌作用や防虫効果を持っています。
ローズウッドはバラのような甘い香りに少し野生的な木質の香りが混ざったような匂いがしますが、この香りは主にモノテルペンアルコール類からなります。
ちなみに今紹介した木材の中でもシロアリの好みには差があり、
ヒバ>ローズウッド>ヒノキ>スギ
先に挙げたものほど食べられにくいとされています。
樹種 | 含まれる成分 |
---|---|
ヒバ | ヒノキチオール |
ローズウッド | モノテルペンアルコール類 |
ヒノキ | ヒノキオールなど |
スギ | δ-カジネン |
木の「種類」以外の要素
木材の種類以外でシロアリの好みが分かれるとしたら「水分量の関係」や「部位の違い」が挙げられます。
木材中の水分量
水分はシロアリが生活するにあたりとても重要な要素の一つであり、木材を食害する時にも木材が持つ水分量の違いで寄りやす差が変わります。
シロアリが最も好む水分量(含水率)は80%以上であることが多く、イエシロアリよりもヤマトシロアリのほうがより高含水率を好む傾向があります。
つまり、同じ木材であっても
- より湿度が高くなりやすい場所
- 雨漏れ等により外部から水分の供給がされたとき
にはその木材は他の木材に比べ食害の対象となりやすいことになります。
木材の部位
木材には「心材」と「辺材」があるのをご存じでしょうか。
丸太を切った時の中側に近い木材を心材、外側に近い木材を辺材と言います。
辺材は見た目の良さから建築では主に「仕上げ材」に用いられますが、自身の身を守るための成分が心材よりも少なく、シロアリの被害に弱いのが特徴です。
一方、心材は腐れにも強くシロアリの被害にも比較的強いため、建築では家を支える重要な構造部材に多く用いられています。
このことからも分かる通り、心材よりも辺材のほうがシロアリの食害対象になりやすいのです。
家の木をシロアリに食べられないようにするには
建物に使われる木材をシロアリから守るためには木の持つ力、先程お話した心材が持っている自らを守る成分だけでは完全に防ぐ事はできません。
やはり対策が必要となります。床下の環境作りはとても大切な項目の一つです。床下に湿度が溜まってしまうような環境ではいつシロアリに侵入されるか分かりません。
それを未然に防ぐためには通気をよくすることです。建物の周囲に荷物をたくさん置かれているお宅をよく目にしますが、外周には必ず床下に空気を取り入れる入口があります。
これは建物のタイプによって異なりますが、通気口と呼ばれる格子状の柵が取り付けられた窓が基礎に設けられているタイプや基礎パッキン構造と呼ばれる水切り下に建物一周スリットが入っており全周から空気を取り入れるタイプなどがあり、これらの風の通り道を荷物等で塞いでしまっている場合がとても多いのです。
こうなってしまうと外部から空気の流れが遮断され床下に風が抜けなくなることで湿度が高まりシロアリを呼び寄せてしまうため、皆さんも一度ご自宅の周りを確認し、もし妨げになっているような場所があるようなら荷物の置き場などを今一度考え直してみましょう。そして、最も重要な対策は勿論シロアリ対策をしっかりと行う事です。環境を整え、定期的な防蟻対策を怠ることなく実施しておくことでシロアリ被害が起きることはまずないでしょう。
まとめ
今回はシロアリが好きな木や嫌いな木の種類や条件、その理由についてご紹介してきました。
シロアリは理論上はどんな木でも食べることができます。
いくら被害に遭いにくい木材を使ったとしても、それで「シロアリの心配はなくなった」となることはありません。
ではシロアリから木材を守るにはどうすればいいのでしょうか?
それは定期的なメンテナンスです。
建物を常に健康な状態に持つ事が、シロアリから家を守り、長持ちにつながります。
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