家の湿気はどこから来るの? 木材を濡らす水分の要因は6つ|シロアリ1番!

COLUMN

シロアリコラム

投稿日 2018.12.12 / 更新日 2023.02.20

湿気・カビ腐れ対策

家の湿気はどこから来るの? 木材を濡らす水分の要因は6つ

WRITER

木村健人

WRITER

木村 健人

しろあり防除施工士

木村健人

シロアリ・木材腐朽菌に対する木材保存・薬剤性能評価について在学中に研究。2009年新卒でテオリアハウスクリニックに入社。数千件のシロアリ調査・駆除に従事。現在はWEBマーケティングを担当。

木材は木造住宅の構造部材としてとっても大切な部材です。ですから木材を住宅に使う上で心配なのは、湿気や水分ではないでしょうか。
木材が水分を含むと腐朽やカビが発生し、木材強度を低下させてしまいます。しかし、裏を返せば適度な水分がなければ木材を腐らせる木材腐朽菌は育ちません。栄養や温度、酸素など、腐朽菌の生育しやすい条件が揃っていても、木材に適度な水分を含んでいない限り、腐朽することはないのです。では、その水分や湿気は一体どこからやってくるのでしょうか。

木材を濡らす水分の要因は6つ

住宅で発生、または浸入する原因は一つではありません。そして影響を及ぼす箇所も様々です。住宅の木材に影響を及ぼす可能性があるのは下記のとおりです。

  1. 家の外から浸入してくる「雨水」
  2. 室内から浸入する「水分」
  3. 地盤から上がってくる「湿気」
  4. 生活空間から発生する「湿気」
  5. 家の外から浸入してくる「湿気」
  6. 温度差によって発生する「結露水」

の6つとなります。今回は、この6つについて考えてみたいと思います。

要因1:屋外から侵入する雨水

雨漏れ

家屋の木材に水が染み込む原因はいろいろありますが、最も厄介なのは雨漏りです。屋根や壁のヒビなどから少しずつ雨水が浸入すると、構造部材の含水率は徐々に上昇してしまいます。ひと昔前の住宅では、室内にまで雨水が入ってしまうことがありましたが、最近は住宅の造りが良くなっているので、室内にまで雨水が入ってくるほどのひどい雨漏りは少なくなりました。

しかし、気が付かないうちに雨水が浸入し、木材が濡れてしまうケースが増えています。また、稀ですが換気口から直接床下空間に雨水が侵入することもあります。
 
屋根や窓、出入り口などの隙間から雨が入らないように雨仕舞をしますが、この雨仕舞に不備があった場合も各部が被害を受けてしまいます。このほか、樋の詰まりや破損によって軸組に水分が染み込んだり、柱脚などに雨水がはねかえるなど、雨が要因となるケースはいろいろ考えられます。

要因2:室内から浸入する水分

雨水以外にも、台所や浴室、洗面所などで使う生活水が木材を濡らす要因となることもあります。特に注意が必要なのはタイル張りの浴室です。タイルそのものは半永久的に水をはじきますが、タイルとタイルの間には目地と呼ばれるコンクリートがあり、この目地にひび割れが起こると水分が浸入してきます。コンクリートの下には防水紙が張ってあり、水を通さない仕組みになっているのですが、老朽化によって破れた部分があったり、防水紙を留める際にあけた穴などから少しずつ水分が漏れて、構造部材が多湿になることがあります。

要因3:地面から上昇してくる湿気

地面からの湿気

当たり前のことですが、地面は少なからず水分を含んでいます。床下の地面をむき出しのままにしておくと、地表の水分が水蒸気となって床下部材へと上昇するため、床組の木材含水率が高くなり腐朽の原因となります。しかし、最近の住宅のほとんどは、床下に防湿対策が施されています。たとえば、地面をコンクリートで覆うベタ基礎も防湿対策です。布基礎の場合は、防湿シートや防湿コンクリートを敷設して湿気上昇を抑えます。いずれにせよ地表を露出させておくと木材が湿気を含みやすく腐朽の原因になりやすいということです。

要因4:生活空間から発生する湿気

普段の生活の中で、私たちは無意識の内に様々な水蒸気を発生させています。たとえば、人間は1日に500~1500mlの汗をかくと言われています。汗は蒸発して水蒸気になり湿気の元となります。また、私たちの汗や湿気を吸った布団をそのまま押入れにしまうと、布団に残った水分が押入れの中で蒸発してしまい、これも湿気の原因となります。洗濯物を部屋に干すことも日常的におこなっていると湿気の元となることがあります。

また、台所で料理をしただけでも水蒸気は発生します。水道から出す水やお湯が蒸発するのに加え、炎を燃焼させるガスコンロからは相当な量の水蒸気が発生します。さらに、浴室やトイレ、洗面所など、私たちはあらゆるところで日常的に水やお湯を使います。当然、生活する人数が多ければ多いほど、発生する水蒸気量も多くなります。冬は乾燥する季節ですが、冬場の暖房に石油ファンヒーターを使用している場合、ファンヒーターの燃焼で水蒸気が大量に放出されます。

生活空間のこうした湿気が、床や壁の隙間から侵入して木材を湿らせる原因となってしまうことがあります。普段からキッチンや浴室の換気をこまめに行う、布団はきちんと乾燥させるなど、ちょっとした行動でも建物の水分を少なくし、腐朽を遅らせることができます。

要因5:床下の換気口から侵入する湿気

床下空間には必ず換気口が設けられています。本来は、床下の風通しを良くし、湿気を外部へと排出するためのものですが、逆にここから湿気が侵入してしまうケースがあります。特に梅雨から夏にかけての湿度の高い時期や雨の降った翌日などは、床下の湿気よりも外気に含まれる湿気の方が多くなります。この時期だけは、湿気を排出するはずの床下換気口が本来の役割を果たせず、逆にじめじめした空気を取り込んでしまうのです。

床下に湿気が侵入しても、床下換気扇や攪拌機(かくはんき)などが設置されていれば空気が滞留することはありません。しかし、何の対策も施されていない場合は狭い床下空間に湿気が留まり、土台や大引きといった床下部材に湿気を吸わせてしまいます。

要因6:温度差によって発生する結露水

冬場によく見られることですが、結露水で木材が濡れることがあります。結露とは、空気中に含まれている水分が冷やされ、液体になることをいいます。
暖房で暖められた室内と屋外の温度との間に大幅な差が生じ、窓ガラスの周りの空気が冷やされて窓ガラスに結露水が発生します。窓ガラスの場合は水滴を拭き取れば問題ありませんが、結露水は外壁の表面や壁内部にも発生します。壁内に生じた結露は木材へとしみ込み、構造体に悪影響を及ぼすため要注意です。また、トイレなどの温度が低い場所に居間などから暖かい空気が流れ込むと、金属配管に結露水が発生し、隣接する木材にしみ込んでしまうことがあります。

さらに、結露水は床下にも発生します。床下の気温は夏場でもあまり高くならないため、急に外部から暖かい空気が入ってくると、その空気が床下で冷やされて露点に達し、結露水となってしまうことがあるのです。これを夏型結露といいます。

まとめ

これらの水分・湿気に留意するだけでも木材腐朽の予防に繋がります。しかし自然の力や普段の生活によって、どうしても家は水分を含んでしまいます。シロアリ1番!では白蟻による蟻害だけでなく床下の多湿による木材腐朽(腐れ)から住まいを守る床下湿気対策も取り扱っております。無料の床下点検も実施しておりますので、床下の湿気が気になる場合はぜひご活用ください!