「しろあり防除士」取得の道程とは?勉強内容に迫る②(-薬剤編-)

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Researcher

研究者プロフィール
田中 勇史

研究室長 2007年入社

シロアリ業務技術開発課専任課長

大学では昆虫類の研究に携わる。2007年テオリアハウスクリニックに新卒入社。 これまで3000件を超える家屋の床下を調査。皇居内の施設や帝釈天といった重要文化財の蟻害調査も実施。 大学の海外調査にも協力。

interview

こんにちは。田中です。

今回は「しろあり防除施工士」を取得するための「薬剤」の勉強をご紹介します。

あなたはもしかすると、「シロアリ屋さんなんて何も考えずに床下で薬剤を適当に撒いているだけじゃなの?」みたいに思われているかも知れません。

確かにニュースで、

「シロアリ業者が〇〇万円の詐欺契約」
「騙して不要な設備を押し売り」

みたいなのを見ると、悪いイメージを持ってしまうのも仕方がないと思います。

しかしこのページを読んでいただければ、「しろあり防除施工士を持っている人はこんな事まで勉強しているんだ」と思っていただけるに違いありません。

薬剤問題を攻略するコツ

薬剤関連の分野では

  • 有効成分
  • 単位
  • 専門用語

 といった、シロアリのことをよく知らない、シロアリ業界で仕事をするようになって日が浅い、という人にとって聞きなれない横文字が多数出現します。

そのため、聞き慣れないうちは頭が混乱してしまうはずです。そんな薬剤問題を攻略していくコツをお伝えします。

薬剤名と有効成分名をセットで覚える

まずは

  • よく使用される薬剤名
  • その有効成分名

 を紐づけて覚えるようにしましょう。

例えば、タケロック=クロチアニジンといった感じです。

ついでに「剤型」も覚えてしまう

また、薬剤に関しては「剤型」を問われることがあります。

剤型とは読んで字のまま「薬剤の形状」を意味します。 一緒に把握しておくといいですよ。

例えば、 水和剤とは?…水に馴染む 油剤とは?…油状 みたいな感じです。

各剤型について説明できるように頭の中で呪文を唱えるように覚え込ませましょう。

さらに薬剤の「分類」も一緒に覚える

また、薬剤には

  • 防蟻剤
  • 防腐防蟻剤

  のようにさまざまな「分類」があります。

せっかくなのでこれらも併せて、覚えてしまいましょう。

「どういった目的で使用される薬剤を分類上、防蟻剤と呼ぶんだよ」 という感じで頭に入れておくと完璧ではないかと思います。

薬剤の「毒性」問題攻略のコツ

もちろん、薬剤ですから「毒性」に関する問題も出てきます。代表的なものとしてLD50値(LC50値)があります。

これもちゃんと攻略のコツがありますので、それをしっかりお伝えしていきますよ。

まずは単語の表現と単位を覚える

まず覚えるべきは、単語の表現と単位です。

問題文にはLDやLCなどの聞きなれない単語がたくさん出てきますが、当然その意味を知らないことにはお話しになりません。

まずは1つ1つの単語の意味を理解するようにしましょう。

LD・LCとは?

急性毒性試験で使われる表現です。

動物や水棲生物がこの量を与えた際に、そのうちの50%の生き物が死ぬ値を現したもので動物ではLDと表記され、水棲生物では値が濃度で示されるので半数致死濃度=LCと表記されます。

また、たまにTLmと表されることもありますが、同じ意味と思ってください。

そして、LD50(LC50)が理解できれば自動的に毒性分類もできるようになります。

単位を覚える

そこで必要なのが単位を覚えることです。

例えば、魚毒性の分類ではA類、B類、C類に分けることができますが、これらはLC50値の値によって分けられています。

10ppm以上:魚毒性A類、0.5~10ppm:魚毒性B類、0.5ppm以下:魚毒性C類 というように濃度の単位で覚えるようにするといいですね。

これが分かるようになると、毒物、劇物、普通物を分けることもできるようになります。

経口毒性

経口毒性で説明していることが多く、この場合はマウスを例にするのでLD50値の数値で見ます。

300㎎/㎏以上:普通物、50以上~300以下:劇物、50以下:毒物といった感じですね。

もう、数値を覚えてしまいましょう。

ADI値とは?

この他にも一日の摂取許容量を表すADI値は有名どころなので、覚えておいて損はないと思います。

こちらは、数値が小さいほど危険性が高いことを意味します。

薬剤の「溶けやすさ」はとても難しい

薬剤の問題には、溶解性(どれだけ水に対し、よく溶けるのか溶けないのか)を問うものや蒸気圧(空気中にどれだけ揮発しやすいか、しにくいか)を問うものもあります。

問題には、様々な横文字や数字が出てくるため、非常に難しい所ではあります。

溶解性を見るのであれば、数字の単位を揃えて、その数字が大きければよく溶ける、小さければ溶けにくいと覚えるのがいいでしょう。 例を挙げてみます。

蒸気圧であれば、同じく数字を見るのですが、ここで見るべき数字は「-何乗」というところのみです。

いろいろ数字が書いてありますが、ここだけを見ましょう。

マイナスの数字が大きいほど蒸発しにくく、例えば-5乗と-13乗だったら後者の方が蒸発しにくいということです。

シロアリ施工に関する問題

そして、薬剤ではシロアリ施工に関する問題も多く出ます。

処理法における各薬剤の散布規定量、木部処理剤の木材吸収量(条件の違いによる変化)などの把握、施工時の注意事項に関することは重要ですので頭に入れておくようにしましょう。

出題としては次のように出ることが多いです。

理想は「説明」できるようになること

ここまで薬剤について色々な問題についてご紹介してきましたが、出題形式も

  • 正解を探す記号問題
  • 間違いを指摘する問題
  • 説明が求められる形式
  • 計算を行う必要がある問題

だったりと様々です。

私が思う一番間違いのない方法は説明できるようにしておくことです。

そのことが説明できるようになっていれば、たとえ穴埋めになっても選択になっても答えられますからね。

次回は「木材」に関する問題のご紹介をしていきます。お楽しみに!

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